2月3日妥当レンジ 8,350円~9,600円
コンセンサス(来期予想EPS)は信頼できるのか?

2012/02/07

【IFIS/TIWコンセンサス225】

先週末(2/3)に発表された米雇用統計においては、失業率が前月(2011年12月)の8.5%から8.3%に改善するとともに、非農業部門雇用者数がコンセンサス予想(14万人増)を大きく上回る24.3万人増となった。
この発表を受けてドル高(円安・ユーロ安)に為替が動くとともに米国株式市場は大きく上昇した。昨日の東京市場でも海外市場の上昇を受けた流れが続いている。世界的に株式が上昇している背景には米国経済が堅調であることに加えて、南欧諸国の国債入札が順調であることによる欧州リスクの低下や世界的な金融緩和が挙げられる。

海外市場の上昇と米国経済指標の好調による円安を受けて、日本の株式市場も上昇傾向にあるが、3Q決算における国内企業業績は、パナソニック(6752)の赤字拡大、化学大手5社の下方修正など素材、電機、薬品など従前予想を下回る状態にある。現状は妥当株価レンジの範囲内での動きであるので、投資家のセンチメントの回復によるものと説明できるが、楽観がさらに広がり上昇を続けるようであればファンダメンタル面から注意を促したい(後述)。

2月3日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、前週との比較で今期予想ベース(1期)が大幅なマイナスとなった。来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)のマイナスは今期ベースとは対照的に小幅なものであった。減少幅は、今期予想ベース(1期)は▲27.42円、来期予想ベース(2期)は▲2.02円、再来期予想ベース(3期)は▲4.94円である。なお、12月決算のキヤノン(7751)、中外製薬(4519)、協和発酵キリン(4151)の3社の対象決算期が変更となっており、1期2.60円、2期2.10円、3期0.65円のプラスの効果が生じている。
昨年末(12/30)と先週末(2/3)のコンセンサス予想EPSを比較した場合、今期予想ベース(1期)は538.89円→492.74円(▲8.56%)、来期予想ベース(2期)は699.98円→695.14円(▲0.69%)、再来期予想ベース(3期)は790.87円→781.96円(▲1.13%)であり、来期、再来期の減少率は僅かである。この結果、来期の増益率は昨年末時の29.9%増→41.1%増へと跳ね上がっている(こうしたテクニカル要因もあり、今週も日経平均の妥当レンジを8,350円~9,600円へと小幅調整を行っている)。

今期予想EPSの引き下げが事前の想像を上回るものであるにも関わらず、来期予想EPSへは今のところ影響が殆ど出ていない。これを今期については震災の影響やタイの洪水などによる特殊要因として片付けてしまって良いのであろうか? 来期は復興需要も含めて想定どおり順調に回復すると考えて良いのであろうか? 日本経済の構造的要因はないのであろうか? 欧州の財政面での引き締めの影響は出ないのだろうか? 中国の成長率鈍化の影響はないのだろうか? まだ来期予想にこうしたマイナス要素が十分に織り込まれていない可能性はないだろうか?

これを解くヒントは12月決算銘柄にある。既に公表されている12月決算銘柄の2012年12月期のコンセンサス予想EPSは、決算前と後では次のように変化している。キヤノン255.23円→237.30円、中外製薬84.75円→89.64円、協和発酵キリン43.11円→41.60円。この3社だけではなんとも判断が出来ない。日経平均採用銘柄の内、12月決算銘柄は13社であり、まだ10社の発表が控えている。これら10社の動きを注視してみる必要がありそうだ。発表日は次の通りである。2月8日:旭硝子(5201)、2月9日:昭和電工(4004)、2月10日:サッポロHD(2501)、アサヒグループHD(2502)、キリンHD(2503)、東海カーボン(5301)、2月14日:昭和シェル石油(5002)、東京建物(8804)、2月16日:トレンドマイクロ(4704)、ブリヂストン(5108)。

12月決算企業の新年度(12/12期)予想の大部分が引き下げられるようであれば、3月決算企業においてもまだ十分にEPSの減少が織り込まれているとは考え難い。つまり、現状での来期予想EPSを前提にオプティミスティックに株価の上昇が続くならば、3月下旬から4月にかけて、予想EPS減少によって株価の調整が引き起こされる可能性が存在するということである。225銘柄に限らず、12月決算企業の業績は要チェックである。

投資戦略としては、中小型の成長企業にフォーカスすることに変化はない。JASDAQなど新興市場の銘柄群は一部市場に比べて元々のバリュエーションがかなり割安な水準にあるだけに、来期予想の水準が少し下がったとしても影響は軽微である。米国を中心とした世界的なリスク資産への資金の回帰が起こる中では、流動性の向上によるバリュエーション回復の恩恵を受け易く、そのメリットがマイナス面をカバーすると考える。 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,350円~9,600円 (前回 8,300円~9,550円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月3日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月3日)

今期予想EPS 492.74 (前週 520.16円)
来期予想EPS 695.14 (前週 697.16円)
今期予想PER 17.92 (前週 17.00倍)
来期予想PER 12.71 (前週 12.68倍)
来期予想PBR 0.94 (前週0.94倍)
来期予想ROE 7.38% 前週7.38%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.58% (前週6.56%)

*2月3日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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