1月13日妥当レンジ 8,100円~9,300円
引き続き欧州財務危機がマーケットの焦点に

2012/01/18

【IFIS/TIWコンセンサス225】

先週金曜日(13日)にスタンダード&プアーズ(S&P)は、債務危機への対応が不十分としてユーロ圏9カ国の国債格付けを引き下げた。フランスとオーストリアが「トリプルA(AAA)」から転落し、スペイン(AA-→A)、イタリア(A→BBB+)は二段階の引き下げとなった。トリプルAを保持していたフランス、オーストリアの格下げによって、EFSF(欧州金融安全基金)の危機対応力が低下するとの見通しに加えて、欧州各国の国債を保有する銀行の信用低下に繋がるという見方も広がっている。欧州連合の監督当局を束ねる欧州銀行監督機構(EBA)は銀行に資本増強(中核的自己資本の比率を5%→9%に高める)の新計画提出を求めており、その期限である20日を前に不安が再燃している。

こうした不安に対して、国債格付けは予想されたものであり既にある程度はマーケットに織込み済みという見方も一方にはある。先週のイタリア国債の入札においては、発行目標の上限での調達となったことに加えて、落札利回りも2.735%と大幅に低下している。今週17日・19日にスペイン国債の入札が予定されており、最大の関心事となりそうである。

17日には中国の第4四半期(10-12月)と2011年のGDPが発表される。自動車販売の急激な鈍化に見られるように中国経済の減速感が際立ってきたが、既に中国政府は金融緩和に舵を切っており、(GDP統計が思わしくなくても)さらなる緩和の可能性が期待されることから市場の懸念材料にはならないと見られている。

米国は19日に住宅着工件数(12月)、20日に中古住宅販売件数(12月)の発表が予定されている。

1月13日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、前週との比較で今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)のいずれもで小幅に減少した。マイナスになった企業群は電機・自動車などの輸出関連と化学など素材関連が多い。プラスは特に目立った業種はない。
1週間の変化ではなかなか特徴が捉えられないが、第2四半期決算が終了した11月18日と直近(1/13)の予想EPSを比較すると、今期予想ベース(1期)は▲8.57%減少〔581.99円→532.14円〕しているのに対して、来期予想ベース(2期)は▲1.80%の減少〔711.23円→698.44円〕、再来期予想ベース(3期)は▲0.90%の減少〔795.69円→788.52円〕に留まっている。今期予想EPSの減少には、タイ洪水被害の影響、欧州危機再燃、中国の成長減速などが盛り込まれているものと考えられるが、タイ洪水被害を除けば来期以降も影響を受ける可能性が強く(むしろ顕在化する)、来期、再来期の見通しはやや楽観的なものに見える。インプライド・リスク・プレミアム(来期ベース)が6.7%前後の水準に高止まりしている点についてはやや注意しておく必要があるようにも感じられる(今後、下方修正される可能性を多少は意識しておく必要がある)。
日経平均の妥当レンジは8,100円~9,300円を継続する。

多くのストラテジストが予想しているように、2012年の株式マーケットは大幅な上昇は期待しづらい。しかし、過去10年間で約半数(東証1部の48%)の銘柄が上昇しているという実証データも存在する(「ストラテジストにさよならを」広木隆著:60ページをご参照)。
また、日経平均採用銘柄は、流動性とセクター別分布によって決定されるが、現在の225銘柄の内、86銘柄は2000年以降に採用されたものである(合併・持株会社化を含む)。12年間で3分の1以上の銘柄が入れ替わっている。
改めて銘柄選択の重要性を指摘したい。宣伝になってしまうが、毎週火曜日に『銘柄ピックアップ~TIW企業レポートからのサマリー抜粋と「Fモデル」による妥当株価水準の推計 ~』というレポートを本年から発行を開始したのでこちらも是非ご参照いただきたい。同レポートにおいては、銘柄選択の考え方についても今後は触れてゆきたいと考えている。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,100円~9,300円 (前回 8,100円~9,300円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月13日)

今期予想EPS 532.14 (前週 534.62円)
来期予想EPS 698.44 (前週 700.09円)
今期予想PER 15.97 (前週 15.69倍)
来期予想PER 12.17 (前週 11.98倍)
来期予想PBR 0.91 (前週0.90倍)
来期予想ROE 7.44% 前週7.47%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.72% (前週6.75%)

*1月13日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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