2月19日妥当レンジ 16,100円~17,350円
現時点で割安であるが、上値追いは禁物

2016/02/24

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米国経済と原油価格に敏感な動きが続く>
■16日にロシア、サウジアラビア、カタール、ベネズエラの4カ国が原油の増産を凍結することに関して合意したことを受けて、原油価格の下落にひとまず歯止めがかかっている。イラクやイランなど石油輸出国の動向が注目されるが、中期的には協調に向けた歩み寄りに向かうとの見方もある。原油価格の下落は、ロシアや中東など産油国はもちろんのこと、シェール開発企業の経営へのダメージ等を通じて米国製造業に影響が強く、米経済指標にも影響を与えている。
■19日に発表された1月の米消費者物価指数(CPI)は、コア指数が前月比+0.3%と11年8月以来の高い伸びとなり(12月は+0.2%)、米国経済が堅調であることを示した。これを受けてNY株価はプラスに反応している。経済指標に敏感な状況が今後も続くことが予想される。
■先週に発表された国内経済指標は、12月の機械受注統計を除けば、軒並み奮わない状態にある。商業動態統計、百貨店統計など消費者のマインドの冷え込みが目立っており、再びデフレに陥る懸念が強まっている。
■26-27日のG20では具体的なアクションはあまり期待できない。ユーロ圏の経済指標が停滞する中で3月のECB理事会(3/10)では追加緩和が行われる可能性が強く、その影響にも注視する必要があるだろう。

 

<業績見通しはまだまだ円高等を織り込む展開>
■2月19日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間においてマイナスとなった。前週比で予想EPSがプラスになった銘柄の比率は、来期・再来期ともに30%台前半にまで大きく沈んだ。自動車、非鉄、海運、商社、地銀などのセクター企業でのマイナスが目立つ。マイナス金利や為替水準を織り込む展開がまだまだ続くことが予想される。
■目先的には株価に割安感が残るが、企業業績の下方トレンドが続く環境で、17,000円を上回る展開は考え難い。引き続き、内需株を中心とした配当利回り重視の保守的スタンスを堅持すべきと考える。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,100円~17,350円 (前回15,200円~16,400円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月19日)

今期予想EPS 985.50 (前週 987.63円)
来期予想EPS 1107.39 (前週 1115.04円)
再来期予想EPS 1207.56 (前週 1211.57円)
今期予想PER 16.20 (前週 15.14倍)
来期予想PER 14.42 (前週 13.41倍)
再来期予想PER 13.22 (前週 12.34倍)
来期予想PBR 1.02 (前週 0.95倍)
来期予想ROE 7.09% 前週 7.06%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.04% (前週 7.10%)

*2月19 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1まだ売られ過ぎシグナルは持続

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 44.4%→38.2%→44.7%→40.3%→33.3%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、47.9%→36.8%→42.9%→40.0%→38.8%。

為替変動に伴う見通し変更がまだまだ続きそうだ

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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