新年のご挨拶~株価の適性水準を考える「Fモデル」~

2012/01/05

【IFIS/TIWコンセンサス225】

新年、明けましておめでとうございます。
波乱に満ちた2011年が終わり、新しい年を迎えました。大震災、タイの洪水被害、そして欧州市場の混乱と外国人投資家の売りによって日本の株式市場も大きく揺らいだ1年でしたが、売り叩かれた現在の水準から取り組むべき投資スタンスは、基本に立ち返り、過去からの既成概念(かつての株価水準)やレガシー(持株の買値や下落率)を捨ててゼロから歩みだすことと考えます。

株価を極めて単純化すれば、企業が生み出すであろう将来キャッシュフロー(利益)と要求するリターン(割引率)の関係性で決まってきます。市場の要求リターンは、インプライド・リスク・プレミアムに無リスク証券(国債)利回りを加えた値になります。要求リターンの値は個々の銘柄を検討する際にも一つの参考値となります。

個人投資家の皆様にも簡単に計算できる、Fモデル(藤根式簡易バリュエーション)を紹介したいと思います。私自身も1年前から使いながら、弊社のレポートチェックを兼ねて検証を行ってきました。
株価(PBR)は、供給サイド(自己資本配当率+成長率)と需要サイド(無リスク証券利回り+株式リスクプレミアム)で理論上決定されます。この基本原理を下地にして、簡便に理論株価水準を求めるために考案したものが、Fモデルです。
Fモデルは、ROEを一定の割引率で除することによって、理論PBR水準を下記のように求めて参ります。

理論PBR=〔今期予想ROE×(1+来期EPS成長率)÷割引率〕-ネットD/Eレシオ
*割引率は日経平均の期待リターン(インプライド)を利用 12/30現在 7.67%
*ネットD/Eレシオは、(有利子負債-現預金・有価証券)÷自己資本で算出します。

例1)三菱電機(6503)
予想ROE 11.64%、来期EPS成長率11%、ネットD/Eレシオ0.00 (11.64×1.11÷7.67)-0.00=1.68 (現在のPBR1.54倍)→少しだけ割安

例2)クラレ(3405)
予想ROE 9.30%、来期EPS成長率12%、ネットD/Eレシオ-0.28 (9.30×1.12÷7.67)-(-0.28)=1.63 (現在のPBR1.08倍)→かなり割安

アナリスト(あるいは会社側)の業績予想や将来成長見通しによって大きく変りますので、あくまでも参考指標ですが、御手持ちの銘柄について一度チェックをして見ても面白いと思います。
なお、金融・不動産、鉄道・電力ガスなど公益株や大型の設備投資が必要な銘柄、連結子会社で金融業務を営んでいる会社(自動車メーカーなど)は、そのまま適応できないケースもありますので注意が必要です。

さて、昨年末(12月30日)時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)ともに小幅ながら減少傾向にありました。別表をご確認下さい。
日経平均の妥当レンジは8,100円~9,300円を継続します。

昨年の11月中旬より、投資対象に対するスタンスを中小型銘柄に重きを移して参りました。
「産業構造の激しい変化や、国内は勿論のこと中国の人件費高による生産拠点の移動など機動的な経営判断が求められる環境下では、投下資本の少ないJASDAQ企業(=中小型銘柄)に優位性が存在する可能性もある」と11月15日の当レポートに書きました。企業サイドの機動性も勿論重要なポイントではありますが、投資回収期間の長い設備集約型産業はリスクプレミアムの高止まりした環境では、バリュエーション面でも不利な状況が生じます(エターナルバリューのウエイトが大きいほど割引率の影響が大きい)。

また、コモディティ化が進む製造業や流通業等においては、高い経済成長が見込めない国内では投資家の要求リターンを上回ることは期待できません(それだけにグローバル化が重要な要素になる)。
グローバル化への対応が、周辺のビジネスサポートの発達によって大企業から中堅企業にまで広がることを考えると、中小型銘柄の方により高いパフォーマンスが期待できると考えます。

昨年12月28日に「TIWが選んだ2012年の注目銘柄~TIWによるトップピック10銘柄~」というレポートを発行した。この中に株価の大きな上昇が期待できる小型株を3銘柄ピックアップした。
2012年は、中小型銘柄をこれまでよりも積極的に取り上げてゆきます。是非、注目をしていて下さい。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,100円~9,300円 (前回 8,100円~9,300円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月30日)

今期予想EPS 538.89 (前週 542.46円)
来期予想EPS 699.98 (前週 700.41円)
今期予想PER 15.69 (前週 15.48倍)
来期予想PER 12.08 (前週 11.99倍)
来期予想PBR 0.90 (前週0.89倍)
来期予想ROE 7.41% 前週7.38%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.69% (前週6.70%)

*12月30日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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