10月30日妥当レンジ 18,100円~19,500円
悪抜け後もボラタイルな市場展開が続く

2015/11/04

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<高ボラティリティに揺れる展開>
■28日の米FOMCでは利上げは見送られたものの、会合後の声明において12月利上げの可能性に言及されたことから、米長期金利は上昇した。米国株式市場は確りしていることから、利上げは規定路線として市場に織り込まれつつあると考える。
■30日の日銀金融政策決定会合において、予想通り追加緩和は行われなかった。同日のマーケットの下ブレも瞬間的であり、一旦悪抜けの展開となった。しかし、1日発表された9月の中国国家統計局が発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)が2カ月連続で50を下回ったことを切っ掛けに、週明け2日の日本株は大きく売リ込まれた。祝日を前にした利益確定売りに押された形ではあるが、市場のボラティリティの高さを再認識する結果であった。決算発表銘柄に関しては、発表内容によって大きな選別が働いている。
■郵政3社のIPOから4日は大きく戻す展開となっているが、上値については引き続き警戒スタンスが必要な状況のようである。
■今週は、4日:米ISM製造業指数(10月)、米ADP雇用統計(10月)、6日:景気動向指数(9月)、米雇用統計(10月)、8日:中国貿易統計(10月)などの発表を控えており、経済指標発表に敏感なボラタイルな相場展開が続くと考える。

 

<コンセンサス予想EPSは前週比マイナスが続く>
■10月30日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間でマイナスであった。ただし、前週比プラス企業数の割合は来期ベースで51.8%と10週振りに50%台を回復した。しかしながら、再来期ベースは引き続き50%割れが続いており、業績見通しに対してはまだ楽観的になれる状況ではない。
■郵政上場人気と決算発表が一巡した後には再び方向感の乏しい展開になる可能性も考えられる。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,100円~19,500円 (前回18,100円~19,500円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月30日)

今期予想EPS 1048.02 (前週 1051.41円)
来期予想EPS 1135.60 (前週 1138.37円)
再来期予想EPS 1231.88 (前週 1237.14円)
今期予想PER 18.21 (前週 17.90倍)
来期予想PER 16.80 (前週 16.54倍)
再来期予想PER 15.49 (前週 15.22倍)
来期予想PBR 1.24 (前週 1.23倍)
来期予想ROE 7.36% 前週 7.46%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.63% (前週 6.74%)

*10月30日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 図1

妥当レンジの上方シフトは一服。再び頭の重い展開か?

 
図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 40.8%→44.1%→36.9%→45.6%→51.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、32.3%→39.6%→32.0%→35.6%→44.0%。

来期予想ベースでは50%台を10週振りに回復。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

このページのトップへ