1月16日妥当レンジ 17,300円~18,650円
スイス・ショックから緩やかに出直る展開

2015/01/20

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<日銀政策決定会合、ECB総会等、を控えて上値は重い?>
■1月15日のスイス中銀のスイスフラン上限設定の撤廃に伴うスイスフランの急騰と株式市場の混乱から市場は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。しかし、FX業者やヘッジファンドへの影響など、今後に顕在化する可能性も残っており、市場は慎重スタンスが続くものと思われる。
■20日~21日には日銀政策決定会合が開催される。原油安によってインフレ目標の達成が困難になる中で、将来的な政策変更の可能性も伺える。しかし、スイスフランに見られるように中央銀行の急激な政策変更は金融マーケットの混乱を引き起こす。それだけに市場への段階的なアナウンスが重要であり、今回の総裁コメントに注目が集まっている。
■22日にはECB総会が予定されており、量的金融緩和に踏み込むのかが注目されるが、スイスフラン・ショックに伴って米ドル、円など主要通貨に対してユーロが値下がりしたこともあり、今回は見送られる可能性も指摘されている。しかし、25日にはギリシャ総選挙も予定されており、今週は大きな買戻しの動きが期待し難い展開となりそうだ。
<コンセンサス予想EPSは、2週連続、前週比で全期間プラス>
■1月16日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、僅かであるが前週比では全期間でプラスとなった。増加幅が小幅であったのは、石油関連や商社の予想EPS減少が影響したことによる。ただし、コンセンサスEPS(来期・再来期ベース)が前週比プラスとなった企業比率は高い水準をキープしており、上向き基調は維持されていると考えられる。
■電機・電子部品・半導体関連、機械、自動車部品などに予想EPS増加傾向が見て取れる。
■妥当レンジを若干引き下げるものの、株価はレンジ下限を依然として下回っており、“買いシグナル”が明確に現れていると思われる。
◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,300円~18,650円 (前回 17,400円~18,750円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月16日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月16日)

今期予想EPS 926.90 (前週 926.51円)
来期予想EPS 1041.07 (前週 1040.29円)
再来期予想EPS 1137.84 (前週 1137.81円)
今期予想PER 18.19 (前週 18.56倍)
来期予想PER 16.20 (前週 16.53倍)
再来期予想PER 14.82 (前週 15.11倍)
来期予想PBR 1.29 (前週 1.31倍)
来期予想ROE 7.96% 前週 7.91%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.18% (前週 7.08%)

*1月16日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1

株価は妥当レンジ下限をさらに下回る→買いシグナル継続 

 

 図2

来期予想ベースのプラス企業比率は、60.3%→63.5%→57.1%→60.6%→59.0%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、57.4%→63.2%→51.9%→66.1%→57.1%。
プラス企業比率は高水準が続く。
(注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になる) 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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