10月7日妥当レンジ 8,550円~9,850円
予想EPSの減少が加速

2011/10/12

【IFIS/TIWコンセンサス225】

7日に、格付会社フィッチレーティングスが、イタリアならびにスペインの国債格付を引き下げたものの、週末発表の米雇用統計(9月)が非農業部門雇用者数で前月比10万3千人増と市場予想を上回ったこと(8月分も前月比5万7千人増に上方修正)、9日に独仏両首相が10月末までに新たな対策を打ち出す方針を表明したこと、経営危機にあった仏・ベルギー系のデクシアに対して、分割国営化などの破綻処理の実行が逸早く発表されたことなどを受けて、10日(月)の欧米株式市場は大きく上昇した。この流れを引き継いで11日(火)の東京市場も一時的に8,800円台を回復する上昇となった。

欧州債務問題も、EFSF(欧州金融安定基金)の拡充の道筋が見えてきたことなどによって沈静化に向かいつつあると思われる。EU(欧州連合)などの調査団はギリシャへの査定を終え、11月に80億ユーロの追加融資を表明した。一方で、ギリシャ救済を一気に進めるため、債務削減幅を21%から5割程度まで引き上げる案が浮上している。スロバキア政府のEFSF拡充への反対決議(再決議で可決すると見られているが)、民間銀行への影響など、まだ流動的かつ不透明な状態である。他の債務赤字国の財政削減や、信用不安に端を発する景気悪化懸念も後退したわけでもない。

10月7日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)の全期間において前週を10円以上の幅で下回るものであった。

来期予想ベース(2期)において大きくマイナス修正された企業は、TDK(6762)、京セラ(6971)、東京エレクトロン(8035)、太陽誘電(6976)、川崎汽船(9107)、アドバンテスト(6857)、ホンダ(7267)、ミツミ電機(6767)、トヨタ自動車(7203)、商船三井(9104)、ソニー(6758)、キヤノン(7751)、など。いずれも円高や外需の影響を強く受ける企業群である。この傾向は、今期予想ベース(1期)、再来期予想ベース(3期)でもほぼ同様である。

前週比で予想EPSが減少した企業数は、今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)ともに100社(225社中)を超え、広範囲に亙っている。

今回の予想EPS減少を踏まえて、今回も日経平均の妥当レンジを8,550円~9,850円へと引き下げる。日経平均株価が10,000円を回復する期待は少なくとも年内は無くなったと言えよう(今年度中も難しい)。

予想EPSのダウントレンド継続を予想していたものの、この1週間のインパクトは大きい。これがまだ10月下旬~11月上旬まで続く可能性があるだけに、現在の予想EPSから単純に現株価水準を割安と言い難くなっている。結果からすれば、欧州債務問題や米国景気減速から海外市場が下げるに連れて日本市場も下落したが、その戻りが海外市場よりも緩慢であるのは、国内企業業績の悪化を先行的に織り込んでいたものと考えられる。これから始まる第2四半期決算において、実績が好調な企業も景気の不透明感が残る中では、通期予想を慎重に見る態度が広がりそうだ(それはアナリストの予想にも心理的に影響を与える)。

先週のレポートにおいて、「ギリシャをはじめとした欧州債務問題や世界のマクロ経済、そして国内企業の業績見通し引き下げの可能性など、上値の重い展開が10月中も続きそうである」と述べた。一方で、景気悪化に対するセンチメントも先行的に織り込まれる可能性もあるだけに、株価のボトムを形成する展開も期待できる。欧州債務問題の解決に向けた方向が確実性を増してくるにしたがって、景気や企業業績が悪化する日本円に対して“マネーの逃避先”という見方も後退することも考えられる。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,550円~9,850円 (前回 8,800円~10,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月7日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月7日)

今期予想EPS 620.79 (前週 631.08円)
来期予想EPS 737.91 (前週 748.77円)
今期予想PER 13.86 (前週 13.79倍)
来期予想PER 11.66 (前週 11.62倍)
来期予想PBR 0.90 (前週0.92倍)
来期予想ROE 7.69% 前週7.95%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.96 (前週7.12%)

*10月7日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

このページのトップへ