12月6日妥当レンジ 14,200円~16,450円
高値警戒からの調整圧力あるが、基調は変わらず

2013/12/12

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<FOMCを睨む展開>
■過去最高値を更新したNY市場に高値警戒感が強い。ドル円も103円台が壁になっており、それに伴って国内株式市場も11月の上昇に対する調整圧力が存在するようである。そのため、市場の材料に不可解な反応が生じている。
■11月の米雇用統計発表前は、雇用者数の改善はFOMCでの量的金融緩和の縮小(テーパーリング)に繋がるとして円高・株安に動き、発表後は予想を上回る改善に円安・株高という逆の反応が生じた。今週、米与野党間での財政協議の合意が伝えられると再びFOMCでのテーパーリングが焦点となり、再び円高・株安の展開になっている。
■材料に対する解釈は後付に過ぎず、基本的には上昇トレンドの中の調整過程にあるに過ぎないと考えられる。むしろ、押し目買いの好機到来と捉えるべきであろう。

<コンセンサスEPSは目立った動きは無い>
■12月6日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、今期ベースで小幅のマイナス、来期・再来期で小幅のプラスだった。今回は妥当レンジを下方に修正する(前回が高めに出てしまっていた面がある)。
■ヤフー(4689)に続いて、楽天(4755)もJASDAQ市場から抜けたことによって、JASDAQの時価総額は大きく減少した。その結果、JASDAQの各種指標の連続性が害われるだけでなく、地盤沈下が否めなくなっている。有望企業の1・2部への市場替えが加速することも見込まれ、市場内での二極化が強まると考えられる。積極的に分割や分売などで株主数の増加を図っている市場替えの意向の強い企業には注目したい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,200円~16,450円 (前回 14,550円~16,900円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月6日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月6日)

今期予想EPS 779.31 (前週780.02円)
来期予想EPS 879.25 (前週878.10円)
再来期予想EPS 983.42 (前週981.71円)
今期予想PER 19.63 (前週 20.08倍)
来期予想PER 17.40 (前週 17.84倍)
再来期予想PER 15.56 (前週 15.95倍)
来期予想PBR 1.35 (前週1.38倍)
来期予想ROE 7.76% 前週7.73%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.48% (前週6.49%)

*12月6日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 妥当レンジは依然として中位にあり、割高ではない。

    

     

結果から見れば、調整があっても不思議ではない水準だったということになるが。

時価総額でみるとJASDAQは東証1部の46分の1。

プラス企業比率は60%を上回ることがない(市場全体の大幅上昇修正は見込みづらい)。

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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