8月16日妥当レンジ 13,300円~15,350円
利食い売りで下落した好業績銘柄が戻り始める

2013/08/20

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<先週は為替に連動した「行って来い」の上下動>
■先週は、海外では目立った動きが少なかった。そうした中でもユーロ圏GDP(4-6月)が前期比+0.3%と1年半ぶりにプラスに転じたことはポジティブ要因として意識しておきたい。
■国内では13日(火)の「法人税率下げ検討指示」という新聞報道を機に円安・株高に振れたものの、政府関係者の報道を否定するコメントから週後半にかけて株価が下落した。全体的には為替の変動に連動した展開であった。
■19日(月)に発表された7月の貿易統計は、輸出が前年同月比+12.2%であったものの、輸入が同+19.6%と拡大したことから貿易赤字が広がった。注目された輸出数量は同+1.8%と14ヵ月ぶりにプラスとなったが、持続性に疑義もあり、特にマーケットに影響を与えるものとはならなかった。

<コンセンサス予想EPSは概ね横ばい>
■8月16日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比来期予想ベースがマイナスであるものの、今期・再来期ベースがプラスとちぐはぐな動き。再来期がプラスになった要因はソフトバンク(9984)の影響が大きかった。妥当レンジは微調整で引き下げる。
■ここから2Q決算発表までの2~3ヵ月間は、コンセンサスEPSに大きな変化は生じ難く、米国の金融政策の動向や為替動向によって株価が動く展開が続くと思われる。バリュエーション面では現株価水準は妥当レンジ下限に近く、大きく下落する要素が少ないこと、欧州経済や新興国など不安要因が織り込まれ、商品市況も緩やかな回復基調を辿っている点を考慮するならば、引き続き押し目買いを支持したい。
■今週も特に目立ったイベントが無く、閑散とした市場が続くことが予想される。ただし、月曜日は1Q決算発表時に好業績であるにもかかわらず、利食い売りで下げた銘柄の反発が見られた。好業績銘柄へのトレンド回帰が生じ始めている可能性には留意されたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,300円~15,350円 (前回 13,350円~15,400円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月16日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月16日)

今期予想EPS 789.49 (前週788.64円)
来期予想EPS 882.27 (前週884.51円)
再来期予想EPS 978.45 (前週974.83円)
今期予想PER 17.29 (前週 17.26倍)
来期予想PER 15.47 (前週 15.39倍)
再来期予想PER 13.95 (前週 13.97倍)
来期予想PBR 1.24 (前週1.24倍)
来期予想ROE 8.02% 前週8.06%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.80% (前週6.84%)

*8月16日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

引き続き妥当レンジの下限近辺の動き。

                   

 


予想ROEが横這いで推移する中で、投資家のセンチメントで市場が動いている。

   

 

 

 引き続き中小型株は、まだ大型株に対して優位(割安)と言うほどの水準ではない。

   

               

  

前週比で予想EPS(来期ベース)がプラスとなる企業数比率は50%を挟んで推移。本格的な業績相場には比率が60%以上が必要と考える。

             

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
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株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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