8月19日妥当レンジ 9,500円~10,700円
世界経済の後退を織り込む動き

2011/08/23

【IFIS/TIWコンセンサス225】

世界の金融市場の混乱が収まらない。

先週末のNY市場では、米国長期金利(10年国債利回り)が、一時的に2.0%を割り込みリーマンショック後の水準を下回った(終値は2.062%)。金価格は1,874ドルと急伸し、日本円は75.95円/ドルの史上最高値を更新した。

スタンダード&プアーズの米国債格下げを機に、世界的にソブリン債への格下げ懸念が広がるとともに、国債を大量に保有する銀行の株価の下落、それに伴う信用創造の収縮懸念が、リスク資産からの逃避を強め、世界的に株式市場の下落に繋がっている。

他方でFRBの金融緩和策継続の表明によって、ドル安トレンドは止まりそうにない。退避資金の受け皿として、日本円とスイスフランが上昇しており、歯止めとなる処方箋が描けない状況にある。

日本政府による再度の為替介入の可能性が高まっていることから、8月23日現在は76円台/ドルを保持しているものの、今後の米国経済指標(26日・米第2四半期GDP)、バーナンキ議長講演(26日・ワイオミング州ジャクソンホール)、欧州の共同債発行構想に対して予想される混迷など、何かがトリガーとなり再度、日本円の高値更新への圧力が高まる懸念がある。

現在、起こっていることはリーマンショック後に財政を拡大させた世界各国の国債と通貨に対する信頼感の喪失である。その結果としてのリスク回避行動が強まり、信用収縮を招いている。信用収縮によって世界景気のリセッションの懸念が高まりつつある。

欧州においては、ギリシャ、イタリア、スペイン、アイルランドなど財政状況が悪化した国の国債が信頼を失い、それらの国々の国債を保有する銀行のクレジットリスクの高まりが波及しつつある。

米国においては、S&Pによって国債だけでなく、地方債の格下げも行われており、自治体の財政難が問題視されている。3段階以上の格下げ実施を「スーパー・ダウングレード(超格下げ)」と呼称するが、昨年7月以降にこうした超格下げが行われた自治体は200以上に上り、地方政府の債務不履行の可能性も指摘されている。

日本企業は下期からの業績回復を目論んでいるが、円高だけでなく、世界景気の後退もこれまで以上に注意が必要である。足下、復興需要が見込める内需型企業よりも輸出関連株の下げが厳しいのは、外国人保有比率が高いことや海外経済の不透明感が高まっていることも理由に挙げられるだろう。

8月19日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)のいずれもが前週を下回った。経済環境の悪化が織り込まれ始めたのであるならば、このダウントレンドは暫く続く可能性が高い。

225銘柄の内、今期予想ベースで先週よりも予想EPSがプラスになった企業は58社、マイナスになった企業は68社、来期予想ベースではプラスが52社、マイナスが75社、とマイナス企業数がプラス企業数を上回っている。

今期並び来期予想ベースの中でマイナスインパクト(コンセンサス全体に対する)が特に大きかった企業は、ホンダ(7267)、ソニー(6758)、ミツミ電機(6767)など輸出関連である。

インプライド・リスク・プレミアムは、来期ベースで7.38%とリーマンショック以降の最高値を更新した。こうした異常値は、単純に異常として片付けられない面もある。将来のEPS減少(=企業業績の悪化)をマーケットが織り込み始めている可能性もあり、警戒が必要である。

日経平均の妥当レンジは、予想EPSの低下等から今週も引き下げ、9,500円~10,700円とする。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,500円~10,700円 (前回 9,950円~11,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月19)

今期予想EPS 644.72 (前週 646.55円)
来期予想EPS 777.40 (前週 779.77円)
今期予想PER 13.52 (前週 13.86倍)
来期予想PER 11.22 (前週 11.50倍)
来期予想PBR 0.91 (前週0.94倍)
来期予想ROE 8.15 前週8.20%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.38 (前週7.29%)

*8月19日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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