8月26日妥当レンジ 9,300円~10,500円
市場心理の混乱はひとまず沈静化

2011/08/30

【IFIS/TIWコンセンサス225】

注目されたジャクソンホールでのバーナンキFRB議長の講演(26日)においては、追加の金融緩和策について具体的なものは何ら示されなかった。ただし、9月のFOMC(連邦公開市場委員会・9月20日)の日程を1日延長して(9/20・21)、追加の緩和策について十分な議論を行うことを表明した。

ジャクソンホールでの講演で追加緩和策が公表されるという見方は市場では少数派であったことから、マーケットは冷静に受け止めている。追加緩和の可能性を否定しなかったことが奏功して、米長期金利、金価格、米国株式市場は心理的な混乱からやや落ち着きを取り戻しつつあるように窺える。

欧州市場もECBによる国債買い入れによって小康状態にあるが、欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の規模拡大やユーロ共同債の発行など、より踏み込んだ金融安定化策にはまだ足並みが揃わず、再び緊迫化するリスクは残っている状態にある。

今週は、ADP雇用統計(8/31)、ISM製造業指数(9/1)、雇用統計(9/2)など注目度の高い米経済統計の発表を控えており、マーケットの模様眺めの展開と考えられる。米経済に関しては、8月において悲観的な見方が織り込まれており、厳しい数値が出てこない限りは市場へのマイナスインパクトは限定的と考えられる。

本日(29日)の民主党代表選挙で野田佳彦財務相が選出され、明日の両院議会において次期首相に指名される。野田氏は増税も含めた歳入改革に積極的であるが、南欧諸国に見られるように単純な財政緊縮策は景気悪化からかえって財政悪化を招くという悪循環に陥る危険がある。

民主党マニュフェスト(子供手当、高速道路無料化、農家戸別所得保障制度)の返上と、法人実効税率の引き下げ、TPPなど自由貿易協定の推進を望みたい。

8月26日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、2週連続で今期予想ベース(1期)、来期予想ベース(2期)、再来期予想ベース(3期)のいずれもが前週を下回った。その結果、来期予想ベース(2期)の予想ROEは11/3期決算が一巡した5月27日時点の8.44%から8.10%にまで低下している。予想ROEの低下は、マーケット心理の悪化(インプライド・リスク・プレミアムの上昇)と合せて、日本株のバリュエーションの低下を齎している。

225銘柄の内、今期予想ベースで先週よりも予想EPSがプラスになった企業は71社、マイナスになった企業は68社、来期予想ベースではプラスが58社、マイナスが82社。来期ベースでのマイナス企業数の増加が顕著である。来期予想ベースの中でマイナスインパクト(コンセンサス全体に対する)が特に大きかった企業は、ホンダ(7267)、東京エレクトロン(8035)、トヨタ自動車(7203)、アドバンテスト(6857)、デンソー(6902)、ソニー(6758)、など。電機、自動車、半導体など輸出関連企業の予想EPS引き下げが目立っている。他には海運3社もマイナス幅が目立った。

予想EPSのダウントレンドは、まだ続く可能性が高いと思われる。来期増益率(成長率)と予想ROE(収益性)の低下により、日経平均の妥当レンジを今週も引き下げ、9,300円~10,500円とする。

世界経済収縮の可能性と円高による企業業績見通しの悪化は、下期の情勢が確認できる第2四半期決算の前くらい(9月中旬から10月中旬)まで続く可能性がある。この間は、海外市場のセンチメントの大きな好転が無い限りは、日本株は、割安感が強くても株価の出直りは限定的に留まると考える。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

9,300円~10,500円 (前回 9,500円~10,700円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月26日)

今期予想EPS 641.88 (前週 644.72円)
来期予想EPS 771.10 (前週 777.40円)
今期予想PER 13.71 (前週 13.52倍)
来期予想PER 11.41 (前週 11.22倍)
来期予想PBR 0.92 (前週0.91倍)
来期予想ROE 8.10 前週8.15%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.24 (前週7.38%)

*8月26日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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