5月24日妥当レンジ 13,500円~15,600円
マーケット下落の真実! 過剰な業績回復期待

2013/05/28

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<コンセンサスEPSと日経の乖離は依然として110円>
■マーケットが乱調となっている。中国の5月の製造業景況感指数が低かった、長期金利の上昇に対して日銀は具体的な打開策を持っていない、米国の量的金融緩和は縮小に向うことから世界的金余りは終了する、など様々な解釈が行われている。しかし、結論としては、企業業績回復に対する見通しが過剰であったことが理由と考えている。
■日経平均の今期予想EPS(5/24現在)は、アナリストコンセンサスが792.97円、日経(市況欄からの逆算)が902.56円であり、109.59円の乖離が生じている。経験則からは、アナリストコンセンスは日経にやや遅行する、日経予想値は会社予想に近いこと、からこの差は埋まると先週までは考えていた。しかし、決算発表終了後1週間以上経過しても乖離が埋まらない点から、日経予想がやや過大である可能性が浮上しつつある。日経予想がどのような前提で作成されているかは定かではないが、アナリストコンセンサスは決算発表前の数値(3/29:757.39円)と比較してもそれ程かけ離れた数値ではなく、こちらの数値に合理性が強いと推量する。
■つまり、日経予想を見てマーケットは強気に上昇していたが、その数値が過剰である可能性に気が付いたことが下落の本質ではないかと考える。

<妥当レンジは当面は大きな上昇はない>
■5月24日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、いずれの対象期間においても予想EPSが増加したが、小幅であった。一方、実績ベースの1株純資産の増加から予想ROE(来期ベース)は、8.05%(5/10)→7.91%(5/17)→7.84%(5/24)と低下している。今回は予想ROEの低下ならびに来期の増益率の低下などから表記の通り、妥当レンジを引き下げる。
■為替変動や景況感の改善などを視野にアナリストコンセンサスが今後上方に向う可能性はあるものの、1Q決算が発表される7月下旬頃まではその変化は緩やかなものに留まると考える。そのため、妥当レンジの変化も緩やかなものに留まるだろう。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,500円~15,600円 (前回 14,050円~16,250円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(5月24日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(5月24日)

今期予想EPS 792.97 (前週779.13円)
来期予想EPS 876.01 (前週871.32円)
再来期予想EPS 967.07 (前週958.88円)
今期予想PER 18.43 (前週 19.43倍)
来期予想PER 16.68 (前週 17.37倍)
再来期予想PER 15.11 (前週 15.79倍)
来期予想PBR 1.31 (前週1.38倍)
来期予想ROE 7.84% 前週7.91%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.44% (前週6.47%)

*5月24日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

アナリストコンセンサス予想の修正はほぼ一巡したと考えられ、妥当レンジは当面、この水準での推移となりそうだ。

             

  
 予想ROE(来期ベース)は前回の7.91%から7.84%にさらに低下。実績BPS(1株純資産)が10,440円から10,589円に増加していることがROE向上を阻害している。

    

  

 

今期予想EPSは日経予想をアナリスト予想が大きく下回る状態。一時的な要因とこれまで考えていたが、日経予想が過剰である可能性が指摘される。

         

  

JASDAQ市場のリスクプレミアムが、日経平均を下回っており、中小型株市場に割安感はなくなっている。銘柄選別がまだ暫くは続くと考えられる。 

        

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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