車載用二次電池、マンガン系は意外に短命か?

2011/08/12

【アナリストコラム 溝上泰吏】

自動車でエコカーといえば、ハイブリッドカー(HEV)や電気自動車(EV)が実用化されている。来年にはプラグインハイブリッド(P-HEV)が市場導入される予定です。
それらの電源に使われているのが二次電池。初のHEVにはニッケル水素電池が使われ、初のEVではリチウムイオン二次電池が搭載されている。

キーワードはコストと容量ではないでしょうか。HEVはガソリンエンジンが併設されているので二次電池への要求はさほど感じられませんが、EVだと話が変わってきます。フルタイムで電源を供給しなければならないからです。
現在、実用化しているのは、マンガン酸リチウムを正極材に使用したマンガン系リチウムイオン二次電池(以下マンガン系)。ノートパソコンや携帯電話に使われているニッケル系リチウムイオン二次電池(以下ニッケル系)だと、安全面に不安があるため、車載用への採用が見送られました。この違いは、結晶構造にあります。ニッケル系は層状結晶で層の間にあるリチウムイオンが出入りします。このため、リチウムイオンが飛び出した後、上部の層と下部の層が接触し、爆発するリスクがあります。一方、マンガン系は螺旋構造となっており、リチウムイオンが出入りしても、その構造が維持されるため、安全性が高いといわれています。ただし、マンガン系は容量が少ないため、長距離移動が難しく近距離での使用に限定されてしまいます。そこで航続距離を伸ばすために注目されているのが三元系になります。

三元系とは、コバルト、ニッケル、マンガンの三元素を正極に使用するもので、いわば良いとこ取りみたいなものです。最近のセミナー及び学会での報告によると、この三元系が2015年頃から市場投入される見通しです。しかし、車載用二次電池としての本命と呼ぶべきものにはならないでしょう。なお、リチウムイオン電池にはリン酸系というのも、ありますが、こちらは結晶構造が頑丈すぎて、思うような結果が得られていないようです。それに米国が有する特許の関係から日本での生産が難しいと言う意見もあります(中国においてリン酸系の研究が活発なのは、特許が及ばないからともいわれています)。
やはり車載用の本命は、燃料電池ではないでしょうか、従来2020年頃に市場導入されると言われていましたが、ここにきて数年早まるのではとの見方が増えてきてきたようです(EV開発に出遅れた自動車メーカーが燃料電池車の開発を急いでいるといわれています)。

現在、株式マーケットで注目されているマンガン系リチウムイオン二次電池は15年〜18年をピークに他の素材に置き換わっていく可能性が高く、以外に短命に終わるかもしれません。このため、三元系に強いメーカーか、あるいは中期的に燃料電池関連メーカーを、そろそろ注目しておいても良いのではないでしょうか。

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
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