1月25日妥当レンジ 10,300円~11,900円
来期予想ROEの改善続く

2013/01/29

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<コンセンサス予想EPSの改善続く>
■1月25日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、3週連続で全期間(今期、来期、再来期)の予想EPSがいずれも前週比プラスとなった。自動車関連、商社、機械、精密、電子部品などの業種でのプラスが目立つ。マイナス面では海運、不動産、ガラスなどの業種があげられる。
■これまで何度か申し上げているが、新興市場を中心とした中小型銘柄の水準訂正の機会が、現在は存在する。昨年末から日経JASDAQ平均は+10.17%、東証マザーズ指数は+34.79%と大幅高しているが、まだ東証1部に対してJASDAQはリスクプレミアムが2.3%乗った状態にある(今期予想ベース)。
■今週は、米国経済統計(1/30:10-12月のGDP、2/1:雇用統計・ISM製造業景気指数、など)の発表が相次ぐことから模様眺めの展開も予想されるが、3Q決算を迎えて来期コンセンサスEPSの改善が期待できるだけに、マーケットは底堅く推移すると考える。
■日経新聞の市況欄から逆算した日経予想の今期EPSとアナリストによるコンセンサスEPS(いずれも日経平均を対象)から面白い相関関係が伺える。アナリスト予想から日経予想を差し引いた値(乖離)が下方に向っている時期には株価は下落し、上方に向っている時期では株価は上昇する。日経予想は会社予想に近似していることからコンセンサス予想がマーケット(株価)に先行していることを示していると言えそうである。

  

◇日経平均妥当水準(レンジ)

10,300円~11,900円 (前回 10,150円~11,700円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月25日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月25日)

今期予想EPS 572.38 (前週572.31円)
来期予想EPS 729.80 (前週725.05円)
再来期予想EPS 816.05 (前週811.18円)
今期予想PER 19.09 (前週 19.07倍)
来期予想PER 14.97 (前週 15.05倍)
再来期予想PER 13.39 (前週 13.45倍)
来期予想PBR 1.13 (前週1.12倍)
来期予想ROE 7.57% 前週7.47%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.58% (前週6.47%)

*1月25日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

予想EPSの乖離がプラスになることは、コンセンサス予想が日経予想(会社予想に近似)を上回っている状態を示している。

 

 昨年5月から11月まで日経平均は日経JASDAQ平均の6.5倍近辺で推移。
(1/25現在は7.02倍でありまだ水準訂正余地はあると考える)

    出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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