12月14日妥当レンジ 8,500円~9,700円
円安株高は果たして日銀の金融緩和期待だけなのか?

2012/12/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<自民・公明の圧勝に終わったが>

■16日の衆議院選挙は自民・公明が325議席を獲得する大勝利となり、日銀への金融緩和圧力が強まるとの見方からドル円は84円を窺う展開となっている。

■11月14日の衆院本会議での安倍総裁の質疑を受けて、緩和期待から円安・株高にマーケットは推移しているが、表面的な緩和期待だけでなく、底流には「リスク回避の円高」、「消去法での円買い」の終焉があるように窺える。

■13日のEU首脳会議においてESM(欧州安定メカニズム)から銀行への資本注入を直接行える枠組みを来年3月までに整えることで合意した。ユーロドルは1.31ドル台とユーロ高に向かっている(目先のユーロドルの底値は衆議院解散が決まった11月14日頃1.27ドルであり、偶然にも一致)。米国も「財政の崖」問題はあるものの、失業率をはじめとした各種経済指標は改善傾向にあり、長期債利回りも上昇して1.7%台で推移している。世界的なリスクオフの流れがこの1ヵ月程でリスクオンに大きく変化していることに目を向けるべきかもしれない。

■日本株はバリュエーション面においては高値警戒水準と申し上げてきたが、底流にある世界的なリスクオンと長期的な円安トレンドをやや見逃していたかもしれない。

■14日時点のコンセンサスEPSは、引き続き小幅なマイナスが全ての期間にわたって続いており、期待リターン(来期ベース)は、前週の7.29%から7.22%へと更に低下している。欧州危機後に投資家のリスク回避から期待リターンが上昇していたが、本格的に下落トレンドに向っているのかもしれない。

■TIWではマーケットのバリュエーションに対して割安な銘柄に投資するという基本姿勢を執っており、マーケット水準によって投資スタンスが左右されることが無いが、安倍総裁発言と日銀のスタンスを過度に意識しているとそれが大きな勘違いになる可能性も考えられる。あらためて欧州(EU・ユーロ)の動きに注目したい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,500円~9,700円 (前回 8,400円~9,650円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月14日)

今期予想EPS 572.10 (前週572.85円)
来期予想EPS 712.12 (前週713.27円)
再来期予想EPS 795.79 (前週797.30円)
今期予想PER 17.02 (前週 16.63倍)
来期予想PER 13.67 (前週 13.36倍)
再来期予想PER 12.24 (前週 11.95倍)
来期予想PBR 0.98 (前週0.96倍)
来期予想ROE 7.18% 前週7.20%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.49% (前週6.58%)

*12月14日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

11月の株価上昇時から日経平均と日経JASDAQ平均の倍率が上昇しています。それに伴って、インプライド・リスク・プレミアム(今期ベース)の差も2%以上に広がっています。小型株の割安感が強まっています。

 

 予想ROEは低下を続けていますが、それ以上に期待リターンが低下しています(その結果として株価が上昇しているのですが)。 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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