11月22日妥当レンジ 8,350円~9,550円
円安は安倍発言による表層的なものか、それとも構造的な変化なのか?

2012/11/27

【IFIS/TIWコンセンサス225】

前週、「(投資家の期待リターンは)本年で最も低かった水準は3月31日の7.37%であり、その水準を目先の期待リターンのボトムとするならば日経平均株価の上値余地は抑制されるであろう。」と述べた。11月22日現在の期待リターン(来期ベース・インプライド)は7.38%であり、ほぼボトムの状態にある。昨日(26日)は、先週末のNY市場の高騰を受けて、日経平均は9,487.94円と一時的に高騰したが、利食い売りと高値警戒、ユーロ圏財務相会合を控えて値を崩した。為替も円が強含みで推移しており、14日の衆院解散発言から続いて来たマーケット上昇もひとまず一服したように見える。

先週は、米中古販売住宅件数(11/20)、米新規失業保険申請件数(11/21)、独IFO景況感指数(11/23)など比較的好調な海外経済指標の発表が続き、米国を中心とした世界経済に対する不安が後退した。米国の年末商戦もスタートし、出足好調な報道観測が見られるようである。米国の「財政の崖」問題については予断を許さないものの、回避に向けた米国政府の協議などが進むことにより、一進一退ではあるものの海外マーケットの市場心理は好転に向かうものと考えられる。

11月22日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)581.28円(前週比-6.29円)、来期(2期)715.56円(前週比-1.59円)、再来期(3期)799.89円(前週比+0.17円)であった。今期については引き続きマイナスにはあるものの、来期の減少幅は縮小し、再来期は10週振りに前週比プラスとなった。前週比プラスの企業数とマイナスの企業数は、依然としてマイナスがやや上回るものの来期、再来期においてはその差が大きく縮小しており、マイナストレンドがひとまずは終息しつつあることが伺える。

今週もモデル上のテクニカルな要因(BPSの推計値のブレなど)から8,350円~9,550円へと引き上げる。

さて、14日からのマーケット上昇はひとまず一服したのではないかと先ほど述べたが、今後の為替動向次第(円安が加速するような状況)では、マーケット心理がさらに好転する可能性も考えられる。円安は、中期的には輸出企業の採算改善によってファンダメンタルの改善を促す効果も期待されるからである。
それには現在の円安が何によって齎されたのかを検証する必要があろう。表層的には衆議院解散と安倍発言による金融緩和期待が喧伝されているが、そうした表面的な事象は切っ掛けに過ぎず、貿易赤字の拡大による構造的転換がもしも顕在化してきたのであれば、中期的な円安トレンドが生じる可能性が考えられる。
筆者は為替の専門家ではないので詳細についての言及は避けるが、もし、為替・経済構造の転換が生じているのであるならば、投資家の期待リターンの位置が大きく変化する可能性が考えられる。今年3月の期待リターン(7.37%)をボトムと位置づけて株価上昇には限界があるとしてきたが、その場合(円安が大きく進む)には再考が求められるであろう。

しかし、現時点(現在の為替水準)では既にバリュエーション面では割安感は薄れているという主張に変わりはない。来期ベースの予想PERがほぼ13倍に達している面からもそれは明らかであろう。いずれにしても中長期的に投資家に高いリターンを齎すのは高ROEの割安銘柄であり、投資ターゲットは変わらない。マーケットの上昇がここから限定的であっても、さらに上昇したとしてもこうした銘柄群は高いパフォーマンスが期待できる。

余談であるが、高ROEの割安銘柄を中心にしたTIWモデルポートフォリオ(仮想ポートフォリオ)は、11月26日現在で昨年末からの累計(約11ヶ月)で+22.19%となっている。対TOPIX(リターンの差異)では+14.57%である。[採用銘柄など詳細については毎月初めに発行予定の「TIWモデルポートフォリオ」のレポートをご覧下さい]

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,350円~9,550円 (前回 8,150円~9,350円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月22日)

今期予想EPS 581.28 (前週587.57円)
来期予想EPS 715.56 (前週717.15円)
再来期予想EPS 799.89 (前週799.72円)
今期予想PER 16.11 (前週 15.36倍)
来期予想PER 13.09 (前週 12.58倍)
再来期予想PER 11.71 (前週 11.28倍)
来期予想PBR 0.95 (前週0.91倍)
来期予想ROE 7.27% 前週7.25%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.64% (前週6.73%)

*11月22日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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