11月16日妥当レンジ 8,150円~9,350円
投資家の期待リターンは3月(株高時)の最低水準に近接

2012/11/20

【IFIS/TIWコンセンサス225】

先週は「財政の崖」を懸念した米国市場の下落、日本の7-9月の実質GDPが3.5%のマイナスになったこと、企業業績の悪化を受けて、国内株式市場は軟調な展開から始まった。しかし、14日の国会で野田総理が16日解散を明言したことより、円安株高が続いている。政権交代を睨む自民党の安倍総裁が日銀に対して強硬な緩和策を求めていることが円安の背景にある。
2Q決算が一巡し、下期の企業業績がほぼ織り込まれたことや「財政の崖」回避に向けた米国政府の動きなど海外市場の持ち直しが見込めることなどから目先的にはまだ強気の相場展開が期待される。しかしながら、さらなる円安が進まない限り、(81円台での)株価上昇期待は既に織り込まれたようにも見受けられる。

11月16日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)587.57円(前週比-6.13円)、来期(2期)717.15円(前週比-3.93円)、再来期(3期)799.72円(前週比-2.85円)と、引き続きマイナストレンドにはあるものの、減少幅はかなりマイルドになってきた。まだ、多少の減少は続くとしても2Q決算がほぼ織り込まれつつあると考えられる。
一年前の同時期(2011年11月18日時点)においては、今期(1期)581.99円、来期(2期)711.23円、再来期(3期)795.69円であり、現時点とほぼ同じ水準にあった。しかし、昨年は為替レート(円ドル)が76~77円台で推移していたことや、2Q決算以降も企業業績は下ブレしていったことを考えると利益水準は同じでも昨年よりは状況は悪くないのかもしれない。しかし、予想ROE水準(来期ベース)は1年前の7.49%に対して本年は7.25%と下回っており、収益力は低下傾向にあることが懸念される。
日経平均の妥当レンジは、今週はモデル上のテクニカルな要因から8,150円~9,350円へと引き上げる。

日経平均株価やTOPIXが大幅に上昇する一方で、日経JASDAQ平均やマザーズ指数は僅かであるが下落した。現在のマーケット(インデックス)の上昇が先物やオプションに牽引されていることを端的に表していると言える。円安トレンドへの長期的転換という期待があるものの、ファンダメンタルな企業業績の改善(=供給サイド)ではなく、投資家の期待リターンの低下(需要サイド)によって齎されている点には注意が必要である。16日時点の期待リターン(来期予想ベース)は、前週の7.56%から7.46%に低下している。本年で最も低かった水準は3月31日の7.37%であり、その水準を目先の期待リターンのボトムとするならば日経平均株価の上値余地は抑制されるであろう。本年3月の7.37%よりも期待リターンが低い値は、2010年4月まで遡らなければならない。

毎週毎週、同じことを申し上げているが、マーケット(=日経平均、TOPIX)の上昇余地はバリュエーション面では限定的である。しかし、割安に放置された高ROEの成長企業はミッドキャップや中小型株には非常に多く存在する。市場心理が好転する中では中長期的にこうした高ROE銘柄の水準訂正が行われる可能性が強く、その場合のパフォーマンスは現在の大型株の比ではないだろう。新興市場銘柄が停滞している今こそ投資タイミングであると考える。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,150円~9,350円 (前回 8,000円~9,200円)

 *「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月16日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月16日)

今期予想EPS 587.57 (前週593.70円)
来期予想EPS 717.15 (前週721.08円)
再来期予想EPS 799.72 (前週802.57円)
今期予想PER 15.36 (前週 14.75倍)
来期予想PER 12.58 (前週 12.15倍)
再来期予想PER 11.28 (前週 10.91倍)
来期予想PBR 0.91 (前週0.88倍)
来期予想ROE 7.25% 前週7.27%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.73% (前週6.83%)

*11月16日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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