11月9日妥当レンジ 8,000円~9,200円
インデックスには表れない変化が加速する

2012/11/13

【IFIS/TIWコンセンサス225】

米大統領選挙は事前の予想通りにオバマ大統領が再選されたものの、選挙後はNY株式市場を起点に株式市場は大崩となった。これに対する説明としては、1)米国の「財政の崖」があらためて認識されたこと、2)ECBのドラギ総裁がドイツ経済に慎重な発言を行ったことなどから欧州に対する警戒が再び台頭したこと、が主に理由として挙げられている。日本株市場に関しては、海外要因に加えて国内企業業績の見通し悪化が、強く影響しているように見受けられる。TOPIXは12日に昨年末の水準を下回りマイナスに転じた。

11月9日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)593.70円(前週比-12.11円)、来期(2期)721.08円(前週比-3.40円)、再来期(3期)802.57円(前週比-3.59円)と、前週ほどではないが今期(1期)を中心に大きくマイナスとなった。この流れはあと1週は続くと考えられるだけに、今しばらくは慎重なスタンスが求められるだろう。
日経平均の妥当レンジは、今週は8,000円~9,200円へと引き下げる。

前回、「日本株が世界的に見て大きく出遅れていることには理由があるのであり、投資家心理の改善を期待していても報われない可能性が大きいのではないだろうか」と述べたがそれを幾らか補足しておきたい。
(是非、前回のレポート「市場は非効率的であり中小型株にチャンスが大きい」もご参照下さい)

当レポートでは、株価の変動要因を供給サイド(企業業績)と需要サイド(投資家の期待リターン)に分けて考えることを中核に置いている。
今回の期待リターン(来期予想ベース)は、日経平均株価が下落したことによって、前週の7.45%から7.56%へと上昇した。しかし、6月上旬の8.48%から見ればかなり低い水準にあり、投資家の期待リターンは最悪期からは改善傾向にあることが伺える。それにも係らず株価が下落傾向にあるのは、(日経平均を構成する)企業業績が振るわないからである。
日経平均株価は、ファーストリテイリング(9983)、ファナック(6954)などウエイトの高い銘柄の影響を受け易い面もあるが、流動性を採用基準としていることから全般的には重厚長大型産業によって占めている。また、TOPIXも時価総額基準であることから同じく重厚長大な大型株の影響を強く受けている。現在、業績悪化が著しいのはグローバル展開を行う製造業であり、その影響がこれら代表的なインデックスに表れている(或る意味日本経済を象徴しているとも言えるが)。
しかし、非製造業やニッチな分野に特化した企業群ではこうした経済環境下であっても業績を伸ばしている企業も数多くある。マーケットの下落が、投資家の期待リターンの上昇(=リスクオフの状態)に伴う株価の下落であるならば、こうした好業績銘柄も全体に合せて株価が下落することに合理性はある。しかし、現在の株価下落は、グローバル製造業や重厚長大産業の業績悪化が大きな理由を占めており、好業績銘柄がそれに“連れ安”することは合理的ではない。なぜなら期待リターンが低下することによって、好業績銘柄の割安度は一段と高まっているからである。
そのため、第2四半期決算の終了後、投資家の産業・企業に対する大きな「洗い替え」が加速することが考えられる。インデックスの上昇は限定的であろうともこうした銘柄群は高い上昇率が期待できる。昨年も企業業績の下方修正が一巡した11月中旬頃から中小型株の上昇局面が見られた。実際、日経JASDAQ平均もマザーズ指数も1部市場(TOPIX、日経平均)が停滞するこうした環境下でも堅調に推移している。

現在の(主力)企業業績の悪化は景気循環によるものではなく、構造的な問題であることは誰の眼にも疑いようが無くなってきている。株式市場も表面的には見えないものの、静かに質的な変化が生じている。その変化を感じ取れれば決して投資に対して悲観的になる必要が無いことが分かるであろう。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,000円~9,200円 (前回 8,100円~9,300円)

 *「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月9日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月9日)

今期予想EPS 593.70 (前週605.80円)
来期予想EPS 721.08 (前週724.48円)
再来期予想EPS 802.57 (前週806.16円)
今期予想PER 14.75 (前週 14.96倍)
来期予想PER 12.15 (前週 12.49倍)
再来期予想PER 10.91 (前週 11.23倍)
来期予想PBR 0.88 (前週0.90倍)
来期予想ROE 7.27% 前週7.22%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.83% (前週6.68%)

*11月9日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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