11月2日妥当レンジ 8,100円~9,300円
インデックスが上昇しない環境は市場が非効率的でありチャンスが大きい

2012/11/06

【IFIS/TIWコンセンサス225】

日銀は金融政策決定会合(10/30)において11兆円の資産買取り枠を発表した。しかし、事前の新聞報道の範囲に留まる内容であったことから、材料出尽しとなり特にポジティブな反応は見られなかった。国内決算発表においては企業業績の悪化から通期業績見通しの下方修正が続いている。2日時点まではまだ全体の4割程度の発表であるが、電機、機械、自動車など主力企業が軒並み悪化傾向にある。
10月の米雇用統計(11/2発表)は、失業率は前月の7.8%から7.9%へと悪化したものの、非農業部門雇用者数前月比が17.1万人増(コンセンサス予想は12.5万人増)となり、米国経済の好転が期待できる。
今週は米大統領選挙(11/6)、中国共産党大会(11/8)が予定されており、目先は様子見から小動きの展開が続くものと考えられる。

11月2日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)604.92円(前週比-21.31円)、来期(2期)724.48円(前週比-9.55円)、再来期(3期)806.16円(前週比-6.52円)と、決算発表に入ってマイナス幅が拡大している。
昨年の2Q決算を参考にするならば、今期予想ベースに関しては、来週、再来週も大きな減少幅が生じる可能性も考えられる。一方で、来期、再来期、についてはやや遅効性をもって減少トレンドが続くものと考えられる。
日経平均の妥当レンジは、今週は8,100円~9,300円へと引き下げる。

日経平均の妥当レンジは、今週以降も企業業績の悪化が続くことを鑑みれば、マーケット全体がリスク選好的に変わらない限りは、上昇幅は限定されるとTIWでは考えている。投資家の期待リターン(インプライド・リスク・プレミアム+無リスク証券利回り)は、11月2日時点で7.45%である。対象決算期が変更された5月以降では6月上旬が8.48%であり、約1%も低下している。この期待リターンの低下(=リスクオンの拡大)による株価押し上げ効果は、単純計算では約14%に相当する。しかし、現実に6月上旬からの日経平均株価の上昇率は約7%にとどまっており、その差は企業業績の悪化、成長性・収益性の鈍化で説明される。株価が大きく高騰した今年1-3月において期待リターンが最も低下したのは3月末の7.37%であった。こうした面を考慮するならば、余ほど為替レートが円安になり輸出企業の収益見通しが改善されるようなことが生じない限りは、マーケットの上値は硬直的であると認識しておいた方がよいと考える。来期ではなく再来期の業績も先取りされるという最も楽観的なシナリオを用意した場合でも日経平均の妥当レンジは、10,000円が上限と考える。日本株が世界的に見て大きく出遅れているのは理由があるのであり、投資家心理の改善を期待していても報われない可能性が大きいのではないだろうか(報われる可能性も否定はしないが)。

しかし、必ずしも希望が無いと言っているのではない。希望が持てないのはあくまでも日経平均やTOPIXといったインデックスに対してである。日経平均採用銘柄は、流動性を基準にしていることから大型株中心である。TOPIXも時価総額の大きな大手企業の影響を強く受ける。

前回の当レポートでROEについて触れたが、ROE水準が高いにも関わらず、バリュエーション面では低位にある銘柄が、中小型銘柄で多い。こうした銘柄群は、売上利益の成長に伴って投資家の注目が集まり、株式流動性が高まることによって急速に水準訂正を具現化するものが散見できる。
TIWでは、「TIWモデルポートフォリオ」という仮想ポートフォリオを昨年末から作成して、(6月以降は)適宜銘柄の入替を行うと同時に、毎月のパフォーマンスを示している。採用銘柄数は10~20銘柄とし、11月5日現在で18銘柄をリストに掲載している。昨年末から11月5日時点までのパフォーマンス(絶対基準)は+18.48%、対TOPIX(差異)で+15.20%、対日経平均(差異)で+11.76%である。
このパフォーマンス結果には多少は運の要素も含まれているかもしれない。しかし、基本は「Fモデル」の考え方をベースに論理的に行っている。「Fモデル」は特別難しいことを行っているのではない。予想ROE(来期・簡易計算)を市場の期待リターンで除して、財務的価値を加減して妥当な株価水準を求めているだけである。この方法で割安な銘柄を探し出して、ビジネスモデル、業績、カタリスト、流動性、株主還元意欲などをチェックしているだけである。
是非、「TIWモデルポートフォリオ」、「Fモデル」のレポートもご覧頂きたい。その上で、考え方のエッセンスを取り入れていただければ幸甚である。

さて、話を戻すと日経平均やTOPIXが上昇しないことに対して悲観的になる必要は無い。こうしたマーケット環境では市場参加者の層が薄いことから流動性の罠が生じやすくなっている。つまり、市場は極めて非効率的であるのだ。割安成長銘柄が必ず見つけられるはずである。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,100円~9,300円 (前回 8,250円~9,400円)

 *「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月2日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月2日)

今期予想EPS 604.92 (前週626.23円)
来期予想EPS 724.48 (前週734.03円)
再来期予想EPS 806.16 (前週812.68円)
今期予想PER 14.96 (前週 14.26倍)
来期予想PER 12.49 (前週 12.17倍)
再来期予想PER 11.23 (前週 10.99倍)
来期予想PBR 0.90 (前週0.90倍)
来期予想ROE 7.22% 前週7.39%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.68% (前週6.87%)

*11月2日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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