1月15日妥当レンジ 22,200円~24,100円
高値警戒一巡後は、業績上方修正増加に注目!

2021/01/19

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<小幅な調整局面ではあるが>
■14日に米NYダウは31223.78ドルのザラ場高値を付けたが、15日以降軟調に推移している。14日夜にバイデン次期大統領が11.9兆ドル規模の経済対策の発表を行ったが、材料出尽くしになるとともに、金利上昇懸念が台頭した。米経済指標では、14日発表の新規失業保険申請数(1/9終了週)は96.5万件と前週比18.1万件増加し、8月中旬以来の水準となった。また、15日発表の米小売売上高(12月)は前月比▲0.7%と市場予想(▲0.1%)を下回った。11月発表分も前期比▲1.1%から▲1.4%に下方修正された。
■昨日(18日)の日経平均株価は、▲267.97円の下落となった。高値警戒感からの利益確定売りが広がったとされるが、20日に控えたバイデン次期大統領の就任式への警戒感が強まっていることも挙げられよう。ワシントンDCにはかつてない2万5千人の州兵による警備体制が敷かれ、各州の議事堂も閉鎖され警備の強化が進められている。20日を通過するまでは、警戒感の残る相場展開が続くものと考えられる。

<過去2年を上回る3Q決算時点の上方修正>
■前回の当レポートにおいて、現状の日経平均株価の水準は、再来期のコンセンサス予想に、ゼロ金利を加味したインプライド・リスク・プレミアム(IRP=6.0%)を考慮しても割高感がある、ということを述べた。そのため、想定外の事態においては反動が予想されることを言及した。
■ただし、企業が公表する上方修正と下方修正の社数は、12月以降も上方修正が下方修正を上回る形で推移している。上方修正社数から下方修正社数を差し引いた差分は、12月3日終了週(毎週木曜日までの週間を集計)から7→4→19→5→2→3と推移し、1月17日終了週では差分は+29社と膨らんでいる。これから3Q決算が本格化する中でさらに膨らむことも期待できる。過去2年間において3Q時点での差分は若干のマイナスとなっていたが、今年度はまだ上方修正余地が残っているようだ。
■想定外がなければ、この局面は絶好の買い場となる可能性もある。仮に想定外が発生したとしても、日経平均の純資産(=PBR 1.0倍)は、1年前(20,548円)よりも増加し、22,815円となっており、下限ラインは引き上がっている。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

22,200円~24,100 (前回22,000円~23,800円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月15日)

今期予想EPS 1090.94 (前週1093.01円)
来期予想EPS 1315.37 (前週1307.63円)
再来期予想EPS 1504.42 (前週1496.61円)
今期予想PER 26.14 (前週25.74倍)
来期予想PER 21.68 (前週21.52倍)
再来期予想PER 18.96 (前週18.80倍)
来期予想PBR 1.22 (前週1.21倍)
来期予想ROE 5.61% 前週 5.61%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
5.16% (前週 5.17%)

1月15日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

参考値(ERP=エクイティ・リスク・プレミアム 6.0%)の日経平均株価(1/15現在)は 26,200円(前週比+300円)。 再来期予想ベースでERP 6.0%(現在価値への割戻しなし)の場合の理論値は27,550円。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 55.1%→56.6%→58.1%→61.869.5
再来期予想ベースのプラス企業比率は、56.6%→64.444.871.867.4
2週連続で全期間で60%超。3Qでの業績上昇修正も続く

[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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