12月18日妥当レンジ 21,500円~23,300円
ひとまず好材料は出尽しか、閑散の中で下押し懸念も

2020/12/22

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<一旦、材料出尽くしで年内はやや下押しの展開か>
■先週15-16日の米FOMCにおいて追加緩和は打ち出されなかったものの、パウエル議長は「必要なら追加緩和に踏み切る」と記者会見で述べ、緩和期待は維持された格好になった。17-18日の日銀金融政策決定会合では企業の資金繰り支援策の期限を21年9月末まで6ヵ月延長したものの、政策変更は特に見られなかった。市場では日銀は手詰まりという見方が強く、緩和期待が残る米国との間では、為替は円高・ドル安に動きやすくなっている。17日には一時的に102円台/ドルを記録した。
■20日に米議会の与野党指導部は9,000億ドル規模のコロナ対策追加支援を発動することで最終合意した。懸案であった追加支援が漸く合意を迎えたものの、新型コロナ感染者・死者の拡大は広がっており、経済活動に影響が表れつつある。17日発表の新規失業保険申請件数(12日終了週)は88.5万件と前週(86.2万件)を上回った。16日発表の11月の米小売売上高は前月比▲1.1%と市場予想(▲0.2%)を大きく下回った。
■欧州では英国をはじめイタリア、オーストリア、スウェーデンなどロックダウンまたはそれに準じた厳しい行動規制がかけられている。また、英・EUの通商協議は漁業権などで対立が続き、年内の議会批准に暗雲が立ち込めている。
■今週は目立った経済指標があまりない。22日:米消費者信頼感指数(12月)、23日:米新規失業保険申請件数(19日終了週)など。追加支援策合意で材料出尽くしとなる中、クリスマス休暇での閑散から相場の下押しもありそうだ。

<年明け、1月5日の米上院ジョージア選挙に注目>
■年明けは、米ジョージア州での上院決選投票が待ち受ける。民主党・共和党のどちらが制するかによって、人事や予算といった政策運営だけでなく、ハンター氏への捜査の行方も左右する可能性が考えられる。2議席を分け合い共和党が制するとの見方が有力だ。1月6日には上下両院による選挙人投票の集計が行われる。議員からの異議申し立てが無ければバイデン氏が大統領に正式決定となる。
■一部の主要メディアが「トランプ氏戒厳令を議論」と報じており、市場は想定外に揺さぶられるリスクも僅かだが残る。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

21,500円~23,300 (前回21,400円~23,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月18日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月18日)

今期予想EPS 1087.67 (前週1085.34円)
来期予想EPS 1305.74 (前週1302.03円)
再来期予想EPS 1492.39 (前週1489.19円)
今期予想PER 24.61 (前週24.56倍)
来期予想PER 20.50 (前週20.47倍)
再来期予想PER 17.93 (前週17.90倍)
来期予想PBR 1.17 (前週1.16倍)
来期予想ROE 5.70% 前週 5.66%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
5.34% (前週 5.32%)

12月18日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

参考値(ERP=エクイティ・リスク・プレミアム 6.0%)の日経平均株価(12/18現在)は 25,400円(前週比+200円)。 再来期予想ベースでERP 6.0%(現在価値への割戻しなし)の場合の理論値は26,750円(この値あたりが目先の上限水準か?)

来期予想ベースのプラス企業比率は、 56.8%→58.7%→57.3%→57.6%→55.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、59.4%→63.455.3%→61.956.6%。
7週連続で全期間50%超、来期ベースでは11
週連続。

[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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