8月17日妥当レンジ 8,750円~10,000円
NT倍率は12倍に近接

2012/08/21

 【IFIS/TIWコンセンサス225】

3週間前には1.4%台であった米長期国債(10年債)利回りが、先週末には1.8%にまで上昇した。これは欧州危機への過剰なリスク回避姿勢が和らいだことや、7月の雇用統計や小売売上高の改善に見られるように米国景気に対する懸念が後退したことが理由である。為替レート(円ドル)は79.5円/ドルまで円安に戻しており、欧米株式市場の上昇に相俟って日本株も9,100円台を回復した。しかし、日本株に関しては先物主導によって上昇した様相が強そうである。
20日の終値ベースのNT倍率(日経平均株価÷TOPIX)は11.99倍とこの数年間では最も高い水準に上昇した。株式への資金流入が細る中で、流動性の高い日経平均採用銘柄だけが浮揚している状態にあり、相場全体を押し上げるエネルギーに乏しいことを表している。

各方面で指摘されているように、ここから9月中旬にかけては幾つもの関所が待ち構えている。8月24~25日:ギリシャ首相の独仏訪問、9月6日:ECB理事会、7日:米雇用統計、12日:ドイツ憲法裁判所によるESM(欧州金融安定メカニズム)に対する合憲判断、12~13日:FOMC。国内的にも国会会期末の解散の可能性や自民党・民主党の総裁選挙が待ち受けている。マーケットの全面的な上昇に至らないのは、夏枯れだけではなく、模様眺めスタンスの投資家が多数を占めることが背景にあるのかもしれない。米国債利回りが上昇し、スペイン、イタリア国債の利回りが低下傾向にあるにもかかわらず、ユーロドルが1.24ドルを抜けずに戻りが鈍いのは、欧州リスクに対する予防線と見るのは考えすぎであろうか?いずれにしても9月は振れ幅が大きくなる可能性もあり、注意が必要と考える。

8月17日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)665.15円(前週比-3.79円)、来期(2期)773.17円(前週比-1.34円)、再来期(3期)846.30円(前週比+1.38円)と今期、来期のマイナス幅が小幅に留まるとともに、再来期はプラスとなった。
しかしながら、前週比でプラスあるいはマイナスとなった企業数で見ると、今期(1期)プラス54社・マイナス92社、来期(2期)プラス53社・マイナス92社、再来期(3期)プラス63社・マイナス78社となっており、マイナス企業数が依然として多い。予想EPSのマイナス幅が縮小した(あるいはプラスになった)のは、横浜ゴム(5101)、デンソー(6902)、KDDI(9433)、三越伊勢丹HD(3099)の4銘柄の影響が大きかったようである。
前週比マイナスとなった企業では、キヤノン(7751)、シャープ(6753)、日本ハム(2282)、東海カーボン(5301)などが目立った。
日経平均の妥当レンジは、テクニカル要因(来期増益率の上昇など)から8,750円~10,000円への若干引き上げる。

前週末時点のインプライド・リスク・プレミアム(ERP)は7.16%。過去4年以上の経験則から見れば決して低い値ではない(ERPが低いときは株価が高くなる)。しかし、対象決算期が新年度入りした5月中旬以降では最も低い水準にある。前年の同じ頃(7.3%前後)と比較しても低い値であり、言い換えれば目先的には高値水準に達している可能性もある。

もし、株価がさらに上昇する展開を視野に置くのであれば、出遅れ感の強い日経平均以外のTOPIXや新興市場の銘柄に水準訂正の機会があるだろう。いずれにしても欧州状勢には十二分に注意を払いたい。 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,750円~10,000円 (前回 8,650円~9,900円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月17日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月17日)

今期予想EPS 665.15 (前週 668.94円)
来期予想EPS 773.17 (前週 774.51円)
再来期予想EPS 846.30 (前週 844.92円)
今期予想PER 13.78 (前週 13.29倍)
来期予想PER 11.85 (前週 11.48倍)
再来期予想PER 10.83 (前週 10.52倍)
来期予想PBR 0.92 (前週0.90倍)
来期予想ROE 7.80% 前週7.80%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
7.16% (前週7.28%)

*8月17日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

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