8月10日妥当レンジ 8,650円~9,900円
予想EPSは1年前とほぼ同じ水準であるが
【IFIS/TIWコンセンサス225】
主要企業の1Q決算がほぼ出揃いつつある。8月10日時点の日経平均のコンセンサスEPSは7月上旬と比較して、今期予想ベースで-4.4%、来期予想ベースで-2.6%と減少したが、業績面での悪材料は目先的には織り込まれたと考える。
先週は、米雇用統計(8/3発表)の改善や欧州危機に対する不安心理の緩和から株式マーケットは大きく上昇した。今週もこの流れを引き継いで堅調に推移すると期待するが、夏季休暇(国内は特にお盆)の影響から市場は閑散としたものになりそうである。薄商いによって方向感のない展開が続きそうであるが、元々、出来高の少ない銘柄には大きく売られることもあるだけに注意が必要である(と同時に、チャンスも期待できる)。
8月10日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)668.94円(前週比-6.32円)、来期(2期)774.51円(前週比-5.67円)、再来期(3期)844.92円(前週比-9.00円)と引き続きマイナスであった。前週比マイナスとなった企業では、オリンパス(7733)、住友金属鉱山(5713)、ソニー(6758)、大平洋金属(5541)、東京エレクトロン(8035)、三菱商事(8058)、大日本スクリーン(7735)、など電機、半導体、素材などが目立った。一方、プラスになった企業は、ブリヂストン(5108)、コムシスHD(1721)、セコム(9735)、クレディセゾン(8253)などまちまちであった。
日経平均の妥当レンジは、8,650円~9,900円と若干調整する。
8月10日現在の予想EPSを1年前の8月12日時点の予想EPSと比較するとほぼ同じ水準にあることが分かる。2011年8月12日時点は、今期646.554円、来期779.77円、再来期854.67円。来期、再来期においては1年前の方が若干ながら高い。この時点の日経平均株価は8,963.72円(8月10日は8.891.44円)であり、株価水準も近似している。
昨年は、米国の金融緩和によって7月中旬から円高が急速に進行。欧州の状況も急速に緊迫化し、タイの洪水被害も加わって、企業業績も2Q段階で大幅な下方修正を余儀なくされた。その結果、11月下旬には8,100円台にまで日経平均は下落するのであるが、今年は今のところはこうした事態が引き起こされる懸念は少なそうである。
しかしながら、利益水準(EPS)は同じでも1年前と比べて予想ROEは低下傾向にある。来期予想ベースで予想ROEは1年前が8.20%であったのに対して、8月10日時点では7.80%と0.4%も低下している。引き続き欧州や新興国の経済に対して慎重姿勢を取らねばならないことを考えると投資家の要求リターンが大きく低下することは考え難い。上値の重いボックス圏相場が今後も続きそうである。
市場の膠着間が強まる中で、市場エネルギーの低下が懸念される。そうした環境下では個別株物色の展開が強まりそうであり、株価材料に反応しやすくなると考える。株式分割、株主優待の導入、増配、などのニュースには注意して見守りたい。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
8,650円~9,900円 | (前回 8,600円~9,850円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月10日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月10日)
今期予想EPS | 668.94円 | (前週 672.26円) |
来期予想EPS | 774.51円 | (前週 780.18円) |
再来期予想EPS | 844.92円 | (前週 853.92円) |
今期予想PER | 13.29倍 | (前週 12.67倍) |
来期予想PER | 11.48倍 | (前週 10.97倍) |
再来期予想PER | 10.52倍 | (前週 10.02倍) |
来期予想PBR | 0.90倍 | (前週0.87倍) |
来期予想ROE | 7.80% | (前週7.90%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.28% | (前週7.53%) |
*8月10日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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