8月3日妥当レンジ 8,600円~9,850円
米雇用統計を機に悲観ムードが後退
【IFIS/TIWコンセンサス225】
先週は、ドラギ総裁の発言「ユーロの安定のためにあらゆる手段をとる」(7月26日)を受け、8月2日のECB(欧州中央銀行)理事会での具体的な政策に期待が集まっていた。理事会後のドラギ総裁の記者会見では非伝統的手段も含めた追加緩和の姿勢が打ち出されたものの、具体策が示されなかった。その為、南欧諸国の国債価格や(世界的に)株価が大きく下落した。
しかしながら、週末(8月3日)に発表された米雇用統計において非農業部門雇用者数の増加が市場予想(前月比10万人)を16.3万人と大きく上回ったことから悲観ムードが後退し、週明けの株価は大きく反発している。
国内企業業績においては、エレクトロニクスや素材・機械関係では為替・市況悪化・需要減退の影響が色濃く表われているものの、トヨタ自動車(7203)、いすゞ自動車(7202)をはじめとして自動車関連企業の業績が堅調に推移しており、全体としては厳しい状況にあるものの部分的には明るさが見出せる。今期予想EPSの減少はまだ続くと思われるが、1Q決算が終了する時点では悪材料を織り込み、心理的な持ち直しが期待できそうである。
7月27日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)675.26円(前週比-12.33円)、来期(2期)780.18円(前週比-4.22円)、再来期(3期)853.92円(前週比-6.57円)と大きくマイナスとなった。前週比マイナスとなった企業では、シャープ(6753)、コマツ(6301)、関西電力(9503)、コナミ(9766)、富士フイルム(4901)、住友重機(6302)、住友電工(5802)、日本板硝子(5202)、など電機、機械、素材などが目立った。一方、プラスになった企業では、昭和シェル石油(5002)、武田薬品工業(4502)、日立建機(6305)など。目立つ企業は少ないものの、食品、銀行、不動産、商社などの業種でプラス企業が多かった。
日経平均の妥当レンジは、今回はテクニカルな要因(見かけ上の来期成長率が上昇する)から8,600円~9,850円に据え置く。
欧州の状況次第で株価が揺さぶられる構造には変化がないものの、雇用統計の発表から米国景気に対する悲観論がやや後退したこと、国債買取りを含めたECBの南欧支援が次第に具体的なステージに向かうと見られること、国内企業業績の悪化はひとまずは織り込まれることで、一旦は悪抜けする状況が期待される。
インデックスの買戻しが先行すると予想するが、業種による明暗が次第に強まると考える。比較的業績が堅調な自動車関連および小売・流通など内需系企業には割安感があり、中長期においても成長に対する評価も受けるものと考える。
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◇日経平均妥当水準(レンジ)
8,600円~9,850円 | (前回 8,600円~9,850円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月3日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月3日)
今期予想EPS | 672.26円 | (前週 687.59円) |
来期予想EPS | 780.18円 | (前週 784.40円) |
再来期予想EPS | 853.92円 | (前週 860.49円) |
今期予想PER | 12.67倍 | (前週 12.46倍) |
来期予想PER | 10.97倍 | (前週 10.92倍) |
再来期予想PER | 10.02倍 | (前週 9.96倍) |
来期予想PBR | 0.87倍 | (前週0.87倍) |
来期予想ROE | 7.90% | (前週7.92%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.53% | (前週7.55%) |
*8月3日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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