7月27日妥当レンジ 8,600円~9,850円
まだEPS減少トレンドを織り込む段階

2012/07/31

【IFIS/TIWコンセンサス225】

先週は、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が、「ユーロの安定のためにあらゆる手段をとる」と表明したこと(7月26日)を受けて、スペインやイタリアの国債買取りへの期待が高まり、両国の国債利回りが低下するとともに、ユーロの買戻しと世界的な株価上昇が生じた。ユーロドルは、24日の1.20ドル台から一時的に1.23ドル台まで上昇し、現在は1.22ドル台で推移している。行き過ぎたリスク回避が巻き戻された格好になったが、ギリシャのトロイカ(EU・ECB・IMF)の調査と、財政支出削減の実行性の検証、その結果としての追加融資の可否など、波乱要因は無くなったわけではない。既に最悪のシナリオも織り込まれているという見方もあるが、リスクオンの状態に至るまでにはまだ道のりは遠い。 さて、今週は、ECB理事会(8/2)、米FOMC(7/31~8/1)、ISM製造業指数発表(8/1)、米雇用統計発表(8/3)などを控えて様子見が広がりそうである。
国内企業業績は、キヤノン(7751)の下方修正、コマツ(6301)の日経による修正観測に見られるように、海外経済の減速と為替の影響を静かに織り込む展開が続きそうである。

12月決算銘柄では、既に2Q決算発表を終えたキヤノンの他、昭和シェル石油(5002)、アサヒグループHD(2502)、旭硝子(5201)が下方修正を発表している。一方で、協和発酵キリン(4151)は決算発表で通期予想を上方修正した。キヤノンの決算では為替レートの影響よりも数量減の影響を強く受けており、他の輸出企業の動向も気になるところである。ややまだら模様であるが、素材、電機・精密・機械などは全般的に弱含みの印象が強い。

7月27日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」の予想EPSは、今期(1期)687.59円(前週比-4.02円)、来期(2期)784.40円(前週比-6.11円)、再来期(3期)860.49円(前週比-5.19円)と決算に突入して再びマイナス幅が拡大している。

前週比マイナスとなった企業は、キヤノン(7751)、ファナック(6954)、東京エレクトロン(8035)、信越化学工業(4063)、TDK(6762)、日本電気硝子(5214)、アルプス電気(6770)、京セラ(6971)、など輸出関連企業の広い範囲に亙っている。一方、プラスになった企業では、ソフトバンク(9984)、KDDI(9433)、日立建機(6305)など少数に留まっている。

前週に減少トレンドはかなり織り込まれつつあると申し上げたが、緩やかな減少トレンドはまだ続きそうである。
日経平均の妥当レンジは、今回は8,600円~9,850円に引き下げる。
インプライド・リスク・プレミアム(来期ベース)は、新年度入りした5月以降、おおよそ7.5~7.6%で推移している。この3ヵ月間でコンセンサス予想EPSが緩やかな減少傾向にあり、株価も上げ下げはあるものの同様のトレンドを描いている。
来期ベースの成長率や予想ROE水準が低下しており、欧州への懸念が後退してもマーケットの反発力は抑えられる可能性が考えられる。
海外の株式市場の上昇を受けて、年初のように大型株が一時的に大きく上昇する局面も考えられるが、中長期的な投資戦略は中小型の優良企業で変わらない。ただし、下方修正が織り込まれて株価が大きく下落した大型株にはリバウンドの妙味があるかもしれない。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

8,600円~9,850円 (前回 8,750円~10,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月27日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月27日)

今期予想EPS 687.59 (前週 691.61円)
来期予想EPS 784.40 (前週 790.51円)
再来期予想EPS 860.49 (前週 865.68円)
今期予想PER 12.46 (前週 12.54倍)
来期予想PER 10.92 (前週 10.97倍)
再来期予想PER 9.96 (前週 10.02倍)
来期予想PBR 0.87 (前週0.87倍)
来期予想ROE 7.92% 前週7.97%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.55% (前週7.57%)

*7月27日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

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