なぜ…来週は積極的に動くと利益を失いやすいのか?~2021年10月第3週版~
今週は、日経平均株価が29,000円台に再上昇したと思ったら、再び28,000円台に下落する状況を見て「これから株価は上がるのか?」それとも「下がるのか?」が気になる方はいますか?
そして、今は衆議院議員を控えていたり、コロナウイルスの状況が以前と比較して変わってきたので、経済が動き出すと株価がどうなるかが気になる方はいますか?
今の日経平均株価の動向を見ると、上がりそうで上がりきらないと思った、下がってしまうような一進一退の状況が続いています。
そこで今回は、私が日本株市場のトレンドを捉えることを目的に、独自に開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきます。
どうして…今週は方向感がつかみにくい?
まず、こちらをご覧ください。こちらは10/6~10/21の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
- 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
- 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
- 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
- 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
この4つの指数をふまえると、前々週は日経平均株価の上昇ほど、実際のトレンドは動きていないことが分かります。むしろ、下落の強さを示す「底値指数」が目立っていたので、下落の勢いがある状態でした。
それが前週に入ると、前半は底値指数だけでなく、上昇の勢いを示す「天井指数」が目立ち始めました。ただし、これでアクセルとブレーキを同時に踏んだような状態になり、日経平均株価は停滞しました。
そこから前週後半は、上昇の勢いが勝り日経平均株価も上昇し、そのまま今週に入りました。しかし、今週後半は、株式市場のトレンドがほとんどなくなった状態になり、上昇の勢いは短期的なもので終わりました。
そして、再び方向感がない無風状態に突入しています。
このように今週は、それまでの株式市場の流れを組み、上昇の勢いのまま入りましたが、トレンドが一気になくなり、再び株価がどちらに行こうとしているのか分からない状態になっています。
特に10/20、10/21は、全体的にトレンドが乏しく、その中では目立つものがあるものの、株式市場を牽引するように勢いがない状態です。
ただし、ここで注意したいのが、この2日間の日経平均株価の動きです。株式市場の実際のトレンドは乏しい状態でしたが、日経平均株価は下落しています。
日経平均株価を市場のトレンドと捉えている個人投資家にとっては、この2日間は日経平均株価と個別銘柄の動きに連動が弱かったので、疑問に思うタイミングだったかもしれません。
いずれにしても、今週は、前週までも方向感がなく難しい状況でしたが、そこから更に難しい状況である、トレンドが乏しい「無風状態」になりました。
そういった意味では、前週までよりも、さらに株価がどちらにいくか分からない悩ましい状況だったのではないでしょうか。
では、週明けの株式市場は、どのような展開が予測されるのでしょうか。
週明けの株式市場の動向は?
週明けの株式市場の展開を予測するにあたり、まず「OVER指数」を見てみましょう。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
「OVER指数」とは、上昇トレンドの展開を大まかに読み取れる指標です。
8月からのOVER指数の推移を見る限り、今月に日経平均株価が上昇したときがありましたが、それほど大きな上昇ではなかったことが読み取れます。
よって、上昇トレンドのときに効果的な順張り戦略が活躍するような上昇は、まだ見られません。
ただし、一つの良い材料として、このOVER指数が「直近3日連続でマイナス圏」に入っていることがあります。
順張り戦略の勝率をもとに上昇の可能性を考えると40%程度の確率ではありますが、このOVER指数が連続でマイナス圏に入ると、そのあと上昇する可能性があります。
例えば、9月の上昇の際も、8月下旬に2日連続でマイナス圏に突入したあと、上昇していきました。また、OVER指数が目立つ9/27前後も、直前に2日連続でマイナス圏に入っています。
このように規模の大小に関わらず、OVER指数がマイナス圏に入るのは、その後の上昇のサインとも読み取れます。
繰り返しなりますが、あくまでも、その確率は40%程度なので、いわゆる「ダマシ」になる可能性のほうが高いですが、一つの目安としては把握しておくと良いでしょう。
以上をふまえると、引き続きOVER指数が、どのような展開をするかに注目です。
では、下落する可能性はどれくらいあるのでしょうか?次は、こちらの「RISK指数」をご覧ください。
週明け暴落の可能性は?
「RISK指数」とは、暴落や大幅下落の展開を大まかに読み取れる指標です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
このRISK指数は、平常時はマイナス圏を推移しています。ただし、暴落や大幅下落があるときは、その直前に、ひょっこ顔を出すようにプラス圏に現れます。
前週までは、このRISK指数が10以上などのプラス圏で目立ちましたが、今週に入りようやく安全圏を示すマイナス圏になりました。
しかし、ここで注意点があります。これで、これまでの暴落リスクが、ほとんどなくなったと考えたいところなのですが、今週後半に入り、まだ安心できない不安材料が出てきました。
それが、10/21のRISK指数が「0」の水準まで上昇したことです。それまでは3日連続でマイナス圏に入りましたが、再び0まで上昇してきました。
それをふまえると、このまま10/22にプラス圏に入ることなく、再びマイナス圏に戻るか、それとも再びプラス圏に現れるかで、来週の株式市場の動向が変わってくるでしょう。
ただし、まだ分岐点なので、来週暴落リスクがあるとは言い切れません。今のところは、10/22と週明けのRISK指数の動向次第で、再び暴落リスクが顕在化されるかが分かるでしょう。
そういった意味でも、完全に暴落リスクがなくなったとは考えず、再び下落の勢いが強まる可能性があると考えておくと良いでしょう。
どうする…週明けの投資戦略?
10/15までの投資主体別売買動向によると、日本の株式市場を構成する三大投資家の「外国人投資家」が買い、 「個人投資家」 「機関投資家」が売りでした。
相場全体の需給バランスで考えると、やや買いのほうが優勢ですが、ほぼ均衡している状態のまま、今週に入りました。
そして、この流れが今週も続き、前週は日経平均株価や、実際の株式市場のトレンドが上昇傾向にありましたが、それが一気に失速し、再び方向感が乏しい状態になりました。
また、実際の株式市場のトレンドは、これまでとは違い、上昇も下落もトレンドが、ほとんど発生していない状態です。
これまでと違って、上昇と下落の勢いが均衡している状態での方向感が乏しい状態ではなく、トレンドがほとんど発生していない中での方向感が乏しい状態です。
そのような中、OVER指数は上昇の気配を見せ、RISK指数は下落の可能性がある気配を見せています。
よって、今は、上下のどちらかに跳ね上がる可能性もある中で、無風状態になっているという、これまでになかった状況です。
以上をふまえると、週明けの株式市場は、株価がどちらの方向に動くか、これまでよりも更に予測がつかない状況ですので、あえて動かずトレンドが発生するまで「様子見」も選択肢の一つになるでしょう。
「動かない」というのも株式市場では、有効な戦略の一つです。動かないことにより「機会損失」と捉える方もいますが、株式市場が続く限り、利益を狙うチャンスは何度もあります。
難しいときにはムリに利益を狙わず、トレンドがはっきりしたときに利益を狙うほうが、効率良く利益を狙えるのではないでしょうか。
むしろ、難しいときに利益を狙おうとすると、予測に反して株価が動き、これまで積み上げてきた利益を失いかねません。だから、動かないという戦略も検討してみると良いでしょう。
こういった考え方もありますので、ぜひこのような情報を参考にしていただきながら、ぜひあなたの週明けの投資戦略を考えてみましょう。
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今週のポイント~3つ~
【ポイント.1】
10/15までの投資主体別売買動向によると、「外国人投資家」が買い、 「個人投資家」 「機関投資家」が売り。個人投資家は、前週の買いから売りに変化。需給バランスでは、引き続き市場全体が上下の予測が難しいまま今週に入る。
【ポイント.2】
日経平均株価と実際のトレンドの連動性が薄い状態。一時的に上昇が強いときがあったが、日経平均株価の動向ほど、トレンドがない状態。
【ポイント.3】
OVER指数が「3日連続」でマイナス圏に入る。上昇の気配もある。しかし、RISK指数がようやく今週からマイナス圏に入も、10/21に再び「0」まで上昇。マイナス圏に落ち着くまで、引き続き暴落には警戒が必要。
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2021/10/21時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
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この記事を書いている人
高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック。
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