日銀利上げ加速を織り込む市場、円高の行方は

2026/09/04

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◆2日間で5円の円高

9月2日から3日にかけて、為替市場で円が急伸しました。2日午前時点では、1米ドル=160円台で推移していたところから、4日の朝方には一時155円台前半まで円高・米ドル安が進み、日米協調介入直後の8月3日に付けた水準に迫りました。その後、円高は一服し、4日午前の時点では、1米ドル=156円台前半で推移しています。

◆円高進行の背景

急な値動きではあったものの、当局による為替介入はなかったと見られています。今回の円高進行の背景としては、まず、日銀が利上げを積極化するとの観測の高まりが挙げられます。特に、日銀の高田審議委員が2日の札幌市での講演で、今後の利上げについて、通常想定される0.25%よりも大きな幅での利上げや連続利上げの可能性に、一般論としたうえで、言及したことが材料視されたようです。また、ベッセント米財務長官が、8月30日のG20財務大臣・中央銀行総裁会議における植田日銀総裁との会談で、「円の過小評価に対処するための断固とした措置を支持する」と伝えたことも、日銀の利上げ加速観測を高める要因となったと見られます。こうしたことから、足元、市場では9月会合における日銀の利上げは確実視されています(下図)。

また、米国の早期利上げ観測の後退も影響していると考えられます。米国の利上げ観測は、8月下旬のジャクソンホール会議におけるウォーシュFRB(米連邦準備理事会)議長の講演後、急速に高まりました。これに対し、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁(2日)やFRBのウォラー理事(3日)が、それぞれ早期利上げに慎重な見方を示したことで、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ観測が急速に後退しました(再掲、下図)。

これらに加えて、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産配分の見直しで円資産割合が上昇するとの思惑や、投機筋による円売りポジションの解消の動きなども、円高進行の要因と見られています。

◆円安圧力は残されている

8月末までは、前月末に日米当局による協調円買い介入があったにも関わらず、円安傾向が続いていました。背景としては、①日米の金利差、②原油高に伴う日本の貿易収支悪化懸念、③中東情勢緊迫化を受けた「有事のドル買い」、④日本の財政悪化懸念、などが挙げられます。そのうち、①については、上述の日米の金融政策を巡る見方の変化により縮小しています(下図)。一方、②から④の環境に大きな変化は見られないことから、これらに起因する円安圧力は残っていると考えられます。今後、利上げに対する見方の変化、中東情勢の帰すうと原油価格の動向、日本の財政に関する懸念の拡大などによって、円安方向への巻き戻しが生じる可能性には注意が必要でしょう。

9月15日~16日にはFOMC、17日~18日には日銀の金融政策決定会合が開催されます。9月会合前後のFRB、日銀からの情報発信には、一段と市場の関心が集まります。

(シニアエコノミスト 藤本 啓)

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