日本の自動車市場、勢力図は変わるのか?

2026/08/14

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◆中国国内での販売低迷で海外へ

8月10日、中国・電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)の日本法人は、7月28日に発売したEV軽自動車「ラッコ」の受注が2週間で1000台を超え、販売は順調に推移していると発表しました。中国自動車メーカーは、これまで何度か日本市場への参入を試みてきましたが、国内メーカーの強固な顧客基盤や品質への信用力、また、欧州メーカーのブランド力などを背景に、シェアを伸ばせない状況が続いてきました。今般、BYDは中国の自動車メーカーとして再度、日本市場に注力してきた訳ですが、今回は上手くいくのでしょうか。

まず中国メーカーの背景にあるのは、中国における自動車販売の低迷です。報道によると、2026年7月の中国国内での自動車販売台数は前年同月比▲23.6%と大幅な減少となりました。不動産不況などを背景に消費の不振が続いているなかで、天候要因なども影響した模様です。その一方、海外向けは同+81.3%と大幅な伸びとなっています。国内と輸出の合計の販売台数は、同▲0.3%と微減に留まっていることから、国内で売れない分を輸出に振り向けているとみられます。

◆中国車、欧州でのシェアが上昇

欧州では、フォルクスワーゲン(VW)やBMWが大規模な人員削減を含むリストラを計画していると報道されています。かつて収益を稼いでいた中国において、市場自体が伸びないことに加えて、現地メーカーの台頭によるシェアの縮小で販売が苦戦しています。このほか、米国の関税強化の動きや、さらには、おひざ元の欧州市場において中国メーカーが競合として台頭してきていることもマイナス要因とみられます。ドイツなどでは、人件費を含めた生産にかかるコストが高いとされており、特に電気自動車においては、中国にコストで勝てないと言われています。今後、EU(欧州連合)では関税強化へ動く見込みですが、中国車のシェア上昇が食い止められるかは未知数です。

◆日本で中国車は売れる?

今回BYDは、軽自動車というカテゴリーで日本市場を狙います。日本の自動車販売は長らく減少が続いており、ピークだった1990年に778万台だった新車販売台数は、2025年には456万台にまで4割以上も減少しています。市場としては決して魅力的とは言えません。しかし、今回BYDが参入する軽自動車だけでみると、1990年の約180万台から2025年の約166万台と減少幅はかなり少なくなります。さらには、軽EVとなると、まさに市場としてはこれからということになり、勝算は十分にありそうです。また、これまで参入のネックになっていたメンテナンスについて、BYDブランドの販売網を整備するにあたり、日本の大手輸入車ディーラーも扱うということで、信用力が増しそうです。

海外メーカーが日本独自の企画である軽自動車で参入する例は限定的です。あえて日本向けとして照準を合わしてきている点では、BYDの本気度が伺われます。

(チーフストラテジスト 上野 裕之)

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