中東情勢緊迫化、それでも業況が悪化しなかった理由

2026/07/24

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◆短観は予想を大幅上振れ

7月1日に公表された短観(全国企業短期経済観測調査)2026年6月調査における業況判断指数(DI)は、市場予想を大きく上回る堅調な結果でした。中東情勢緊迫化の影響で業況は悪化していると予想されていただけに、ポジティブ・サプライズとして受け止められました。

この結果は、回答企業自身の前回(3月調査)時点の予想も大きく上回っていました。企業は先行きについてやや慎重に答える傾向があるため、実績値は前回調査時点の予測より高くなりがちですが、その点を加味しても、今回の上振れ幅は大きかったと言えるでしょう。

6月調査時点の業況判断DIの実績と3月調査時点の予測を業種別に比較してみると、特に上振れ幅が大きかった業種の中には、AI(人工知能)関連材料としての需要が増加している非鉄金属や、半導体製造装置などのはん用機械が含まれます。それに加えて、化学や石油・石炭製品など、中東情勢の悪化の影響を受けたと思われる業種も、予測と比べて業績が大幅に上振れるなど、意外な結果も見られました。

◆代替手段の利用可能性拡大が対応のカギ

中東情勢を巡り、事業環境が企業の目から見てどのように改善したのかは、日銀の「さくらレポート」から見ることができます。

同レポートの4月号と7月号を比較すると、4月号時点では原材料の供給制約や輸送ルートの制限などが懸念されていましたが、7月号では代替調達の進捗や代替輸送ルートの活用、包装資材の簡素化などの対応に関する指摘が見られました。こうした対応の結果、当初想定したほどの業況悪化を免れた様子が窺われます。

同時に、7月号では、価格転嫁に関するコメントも多く見られました。企業の懸念が、供給制約による生産量の減少から、代替調達に伴うコスト上昇にシフトしつつあるようです。実際、6月の貿易統計を見ると、米国からの原油の輸入量は約5倍に増加しましたが、輸入額では、約10倍となっています。今後は、企業にとっては価格転嫁を含めたコスト増加への対応、消費者にとっては、そのことによる消費財価格への波及が懸念事項となりそうです。

中東情勢緊迫化による経済への影響について、一旦は企業部門での対応が進んだ模様です。今後は、不確実性が高い中、より幅広い主体への波及にどう対処するかが焦点となりそうです。

(シニアエコノミスト 藤本 啓)

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