年金資産、株式比率引き上げの効果は?
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◆資産割合変更の判断が奏功
7月3日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2025年度(2026年3月期)の運用状況を開示しました。それによると、年間の収益額は+41兆3,995億円で、国内外の株価上昇や円安などが寄与し、大幅なプラスを確保しました。単年度の運用益としては歴代2番目の大きさで、6年連続のプラスとなりました。資産別では、国内株式が+20兆4,556億円、外国株式が+16兆6,240億円、外国債券が+8兆406億円となっており、AI(人工知能)・半導体関連銘柄を筆頭に株価が大幅に上昇したことや、円安の進行で外国資産の円ベースでの評価額増加が大きく寄与しました。その一方、国内債券は国内金利が上昇(債券価格は下落)したことで、3兆7,207億円のマイナスとなりました。
2025年度の収益率でみると資産全体で+16.47%となっており、資産別では国内株式が+34.62%、外国株式が+27.16%、外国債券が+12.33%、国内債券が▲5.11%となっています。2001年度からの累積収益率は年率+4.67%と、長期的な運用目標とする「賃金上昇率を1.9%上回る水準」を超過しました。
市場運用を開始した2001年当時の基本ポートフォリオは、国内株式11%、外国株式9%、外国債券8%、国内債券67%となっていました。その後組み入れ比率の変更が行われ、現在の基本ポートフォリオは、 国内株式、外国株式、国内債券、外国債券が、それぞれ25%ずつとなっています。
2000年代前半は日本の債券利回りが低下したことから、国内債券中心のポートフォリオでは、期待収益を確保することが困難となりました。そこで、株式や外国資産を大幅に増やした訳ですが、結果としてこの戦略が後の収益を大幅に増やすことになりました。
◆家計も株式等の比率が上昇
日銀が6月下旬に発表した2026年1〜3月期の資金循環統計(速報)によると、3月末時点で家計の金融資産残高は2,386兆円でしたが、このうち現預金の比率は47.2%となり、前年の50.3%から低下しました。株式・投信の比率は、23.6%で、前年(19.8%)より引き上がりました。株式市場の上昇が大きく寄与したとみられますが、投信では、NISAなどを通じた積立投資も寄与した模様です。依然、現金・預金比率は5割弱あり、米国の1割強、ユーロエリアの3割強と比べるとかなり高いといえますが、個人の貯蓄を投資へ向けて国民の資産形成を支援し、経済成長と資産所得の増加による「成長と分配の好循環を目指す」という「資産運用立国」の戦略は進みつつあるといえそうです。
年金運用は長期資産形成の最たるものと言えます。GPIFのポートフォリオは個人の資産形成にも参考になりそうです。
(チーフストラテジスト 上野 裕之)
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