日経平均株価、上値追いの目線

2026/06/05

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◆外からみると「違う景色が見えてくる」

株式市場の活況が続いています。4月下旬に60,000円を上回った日経平均株価は、5月も上昇を続け、6月3日には、終値で68,000円を上回りました。この間、2026年3月期決算発表を経て、企業業績が総じて事前の想定を上回る内容であったことや、データセンターなどの投資が進んでいることなどを背景に、AI(人工知能)・半導体関連銘柄の先行きへの期待が高まったことが好感されました。また、米国における秋の中間選挙まで半年を切ったこともあり、トランプ大統領がイランとの停戦合意に前向きになるとの思惑も大きな上昇要因となっています。

世界的に株式市場にとっては追い風のようにも見えますが、パフォーマンスの観点からは、特に日本株が優位になっています。年初来の上昇率(6月4日まで)でみると、日経平均株価+34%、TOPIX(東証株価指数)+16%、に対して米国NYダウ+7%、S&P500指数+11%、ドイツDAX指数+2%、欧州STOXX600指数+5%となっており、先進国の中でみると日本の好調さが目立ちます。高市政権の成長戦略への期待、コーポレートガバナンスコード改定への期待、東証市場改革への期待、デフレからの脱却への期待など、好材料はあるものの、これだけの大幅な株価上昇のすべてを説明するのはなかなか困難です。

一方、買いの主体となっている海外投資家からは、日本の「大きな転換を買っている」との声も聞かれます。日本経済は、1989年のバブル経済が崩壊して以降低迷を続け、1995年からは物価が下げ局面を迎えるデフレ経済に突入し、いわゆる「失われた30年」となりました。日本で生活している私たちからすると、「デフレ」を所与のものとして受け入れるしかなく、場合によっては、買いたいモノが安くなることを好意的に受け止めるところもありました。しかし、先進国の中でこれだけ物価が上がらない期間を長期に経験した国は他に例がなく、日本経済低迷の根源だったとみられています。今回、「デフレ」から本格的に脱却して普通の先進国に戻ることが期待されているわけですが、株価については、もう十分に織り込んでいるのではとの見方もあります。しかしその一方で、失われた30年で日本の評価自体が下がっていたことから、この部分を「取り戻しにいく可能性」を期待する向きも出てきています。

株価は企業業績とバリュエーションで構成されていますが、企業が生産性を上げると業績は上向きます。また、将来的な利益成長に対する期待が高まればバリュエーションは上昇します。日経平均株価は、既に大幅に上昇しており、過去の経験則からいくと高値を警戒する領域との見方も頷けます。しかし、別の角度から見ると、日本が失われた30年を経験している間、他の先進国は成長を続けていました。(下図)

 

これをいくらか取り戻すとの観点にたった場合、「違う景色が見えてくる」との見解が成り立つかもしれません。

日本もかつて、1980年代までは成長する先進国でした。あの頃のアグレッシブさを取り戻せるなら、株価もある程度の取り戻しが期待できるかもしれません。

(チーフストラテジスト 上野 裕之)

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