良好な豪州経済 豪ドルは堅調な展開が見込まれる

2017/09/25

良好な豪州経済 豪ドルは堅調な展開が見込まれる

 

【ポイント1】堅調に推移する豪ドル相場

資源価格上昇、良好な豪州経済を反映

 

■豪ドルの対円相場は16年6月下旬を底に、概ね上昇トレンドを辿っています。

■今後も、①中国経済をはじめとする世界経済の拡大により、資源価格の安定が予想される、②豪州経済の順調な成長が見込まれる、③豪州準備銀行(RBA)の中立姿勢維持に対して、日銀は緩和姿勢を継続という、金融政策の方向性に違いがある、④豪州の経常収支の改善が予想される、等から、豪ドルの対円相場は底堅く推移すると予想されます。

 

20170922as1

 

 

 

 

【ポイント2】安定に向かう資源価格

中国の需給バランスが改善へ

 

■鉄鋼の主原料となる鉄鉱石の価格は、17年6月に1トン当たり55ドルを割り込みましたが、これを当面のボトムに持ち直してきました。足元では同70ドル近傍の水準で推移しています。

■石炭の価格は、鉄鋼用原材料としてのコークス製造などに使われる原料炭で見て、今年5月~6月頃を底に上昇基調に転換しています。

■中国では社会資本整備のための公共投資が拡大し、鋼材需要が増大しています。こうした需要の拡大に加え、供給の抑制により需給が引き締まり、鋼材価格が上昇しています。これは鉄鉱石のみならず、原料炭価格等にも追い風となります。

■鉄鉱石の主要産地のひとつである中国の鉱山の損益分岐点は、1トン当たり70ドル前後と推計されます。この点を踏まえると、鉄鉱石価格は当面、現状程度の水準で底堅く推移すると予想されます。

 

20170922as2

 

 

 

 

 

【今後の展開】加速する豪州の経済成長率

 

(1)雇用が順調増、資源セクターの調整も一巡へ

■豪州経済は堅調に推移しています。17年4-6月期の豪州の実質GDP成長率は前期比+0.8%となり、前期の同+0.3%から加速しました。

■在庫投資が大幅減となったものの、民間消費が順調に拡大したうえ、1-3月期に落ち込んだ住宅投資、機械設備投資、純輸出が、サイクロンの影響一巡、資源価格の持ち直し等により拡大に転換したためです。

■企業景況感が上昇傾向にあること等から、雇用は今後も増勢を維持する可能性が高く、民間消費も拡大を続ける見通しです。実際、雇用者数はRBAが重視するトレンド値で見て、7月が前月比3.3万人増、続く8月も同2.7万人増と、失業率の低下に必要とされる2万人増を上回っています。失業率は7月が5.63%、8月が5.60%と小幅ながら改善しました。

■加えて、資源価格の持ち直し等により、資源セクターの設備投資調整も一巡すると予想されます。こうしたことから、17年の年間成長率は+2%台前半、続く18年は+3%近くまで加速する見込みです。

(2)物価は緩やかな上昇、金融政策は現状維持

■17年4-6月期の消費者物価上昇率は、RBAが重視するトリム平均値で見て、前年同期比+1.8%となりました。原油価格の持ち直し等、一時的な要因の影響もありましたが、RBAの目標レンジである+2%~3%の下限に向け持ち直しつつあります。

■RBAは9月5日に開催した金融政策決定会合で、政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。景気、物価はRBAの想定にほぼ沿った展開となっており、金融政策は当面、据え置かれる可能性が高いと考えられます。

20170922as3

 

(2017年 9月 22日)

印刷用PDFはこちら↓

今日のマーケット・デイリー 良好な豪州経済 豪ドルは堅調な展開が見込まれる

 

関連マーケットレポート

2017年 9月 6日 豪州のGDP成長率(2017年4-6月期)
2017年 9月 5日 豪州の金融政策は引き続き据え置き(2017年9月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ