「貿易赤字」削減の鍵は対中貿易(米国)

2017/02/22

<今日のキーワード>「貿易赤字」削減の鍵は対中貿易(米国)

米国の「貿易赤字」の状況は、米商務省が発表する貿易統計で把握することができます。その上位相手国は中国、日本、ドイツ、メキシコなどとなっており、この上位4カ国で約7割を占めています。日本を見ると、米国の対日貿易赤字の約7割が自動車産業によるものとなっていることから、トランプ大統領は日本の自動車企業をけん制する発言をしていますが、不公正貿易の是正のためには対中貿易の動向が鍵を握ると見られます。

【ポイント1】2016年通年では7,343億ドルの「貿易赤字」

中国が約半分を占め、続く日本、ドイツ、メキシコの4カ国で7割超を占める

■米商務省が発表した貿易統計によると、2016年通年の貿易収支は7,343億ドルの「貿易赤字」となりました。「貿易赤字」は前年と比べて1.5%減少しました。輸出総額はドル高の影響により減少しました。また、昨年は年初に原油安が進行したことから、輸入総額も減少しました。

■「貿易赤字」ランキングを国別に見ると、1位は中国の3,470億米ドルと全体の47.3%を占めています。続いて、2位は日本の689億米ドル、3位はドイツの649億米ドル、4位はメキシコの632億米ドルとなっており、上位4カ国で「貿易赤字」全体の7割超を占めています。

【ポイント2】対日では自動車が約7割

対中では通信機器や事務機器が上位

■米国の対日「貿易赤字」の内訳を見てみると、1位は自動車で476億米ドルと全体の69.1%を占めており、2位は電気機器、3位は一般機械と、約1%にとどまります。

■一方、「貿易赤字」相手国1位の中国の内訳を見ると、1位は通信機器で797億米ドル、2位は事務機器で627億米ドルと、対日の自動車の額を上回っています。

 

20170221MK

 

 

【今後の展開】「貿易赤字」削減の鍵は対中貿易

■トランプ大統領は不公正貿易の是正を掲げており、「貿易赤字」が大きい日本や中国をけん制する発言が聞かれます。しかし、対日貿易赤字の多くを占める自動車産業では、日本企業は米国内で多くの投資や雇用を行っており、今後についても米国内での大型の投資や雇用の拡大計画を発表しています。例えば、トヨタ自動車(※)は今年1月、今後5年間に米国で100億ドル(約1兆1,300億円)を投資すると表明しました。一方、米国の「貿易赤字」のおよそ半分は対中貿易によるものであり、米国の「貿易赤字」全体の削減には、対日貿易よりも対中貿易の方が今後重要な意味を持つと考えられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2017年 2月21日)

印刷用PDFはこちら

「貿易赤字」削減の鍵は対中貿易(米国)

 

 

関連マーケットレポート

2017年2月16日 イエレンFRB議長の「議会証言」(米国)

2017年2月06日 堅調さを保つ米国の雇用統計(2017年1月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ