2017年欧州経済及び株式市場の見通し 2017年も成長持続、株式市場は堅調な展開へ

2016/12/21

2017年欧州経済及び株式市場の見通し

 

【ポイント1】17年も潜在成長率を上回る成長が続く

輸出の回復と政府支出増が背景

(1)景気

■欧州の景気は2017年も潜在成長率(推計1.1%)を上回る成長が続くと予想されます。輸出は英国景気の減速の影響も加わって力強さはないものの、米国の財政拡大が見込まれる中、米国向けの輸出回復が期待され、全体として増加傾向が続く見通しです。

■内需はドイツにおける難民流入(人口増加)や雇用、所得の拡大を背景に個人消費の増加傾向が見込まれます。

■政策面では、難民関連の政府支出の拡大が見込まれ、財政政策は2018年にかけて小幅ながら景気の押上げ要因となりそうです。

(2)物価

■消費者物価は2017年から2018年にかけて徐々に上昇すると思われます。景気の継続的な拡大に伴ってGDPギャップが縮小すると見られることに加え、原油価格の回復やユーロ安が時間差を伴って、物価の押し上げに寄与すると考えられます。

(3)金融政策

■欧州中央銀行(ECB)は2016年12月の理事会で資産購入の減額と期間の延長を決定しました。2017年4月から12月まで月当たり600億ユーロペースの資産購入を継続します。その上で、必要ならば資産購入を18年以降も延長したり、購入ペースを拡大させる考え方を示しました。足元の欧州景気は底堅く推移しているため、中国など新興国経済が大きく不安定化しない限り、現状の金融政策が当面維持されると思われます。2018年以降も資産購入が延長される見通しですが、購入ペースは徐々に縮小し、2018年末までにゼロになると思われます。

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【ポイント2】政治イベントが波乱要因か

■英国は2016年6月23日の国民投票で欧州連合(EU)の離脱を選択しました。それ以降、欧州ではポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭し、難民問題が加速するなど、政治情勢の不透明感が増す方向です。反EUや反移民を掲げる政党の躍進が続くことになれば、景気の下押し要因となる可能性があります。2017年はオランダ総選挙、フランス大統領選挙、ドイツ連邦議会選挙などが注目イベントです。また、英国は2017年3月までにEUに離脱の勧告を行うこととなっており、いよいよ離脱交渉がスタートすることになります。

 

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【今後の展開】株式市場は堅調な展開へ

■今後、ユーロ圏の景気が底堅く推移する可能性が高く、欧州株式市場は堅調に推移する見通しです。米国と中国の景気も回復基調を維持する見通しで、欧州株式市場にとってプラス要因です。

■また、これまで低迷していた企業業績が底入れから回復へと向かい始めています。1株当たり予想利益(1年先)は24.37ユーロ(12月20日)と前年同月比で見てようやくプラスに転じてきました。これまでは消費関連セクターがけん引していましたが、銀行セクターや公益セクターの利益の底打ちが確認され業績回復の流れが広がり始めています。

■ECBが引き続き緩和的な金融政策を維持すること、物価水準も緩やかな上昇になると見られることから、長期金利の上昇は限られそうです。また、米欧の金融政策の違いからユーロも対米ドルで下落しやすい環境が続くことから、輸出企業の業績にとってプラスに寄与すると考えられます。

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(2016年12月21日)

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