米ドル・円相場の見通し 円安の進行が期待される

2016/11/14

米ドル・円相場の見通し 円安の進行が期待される

○トランプ大統領確定後、急激な米長期金利上昇と、日米長期金利差の拡大を背景に円高修正の動きが一段と加速しました。
○マイナス圏にある短期の実質金利差(米国-日本)は縮小が続く見通しで、米ドル高・円安へ向かいやすい環境と言えそうです。
○市場は、トランプ次期大統領による米景気回復と良い米長期金利の上昇を織り込みつつあり、当面は円安の進行が期待されます。ただ、トランプ次期大統領の発言や財政支出や通商政策の具体化に注意が必要です。

【ポイント1】円高修正が加速

長期金利は落ち着きどころを探る

■トランプ氏が米国の第45代大統領への就任が決定して以来、米ドル高・円安が進行し、11月14日10時(日本時間)に107円台となりました。

■今回円高修正の動きが加速した背景には、トランプ次期大統領の景気政策の柱が財政拡大であることから米国長期金利が上昇し、日米長期金利差が拡大したことがあげられます。

■米国10年国債利回りは、10月月初には1.6%強でしたが、景気拡大を示唆する経済指標を受けて12月利上げ観測が強まる中、月末には1.8%台まで上昇しました。米国大統領選挙でトランプ氏が勝利し、上下院とも共和党が制した11月9日には約6カ月ぶりに2%台に乗せました。トランプ次期大統領の主張する政策である財政支出の拡大や減税に対する思惑が高まり、低金利水準の是正が進んだと思われます。長期金利は当面落ち着きどころを探る展開となりそうです。

■日米の長期金利差も拡大傾向に転じ、円/米ドルレートは米ドル高・円安の傾向を強めました。

  20161114gl1

 

【ポイント2】12月の米金融政策に注目

マイナス圏の実質金利差は縮小傾向が続く見通し

■当面は12月の米金融政策が注目されます。米連邦準備制度理事会(FRB)は12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定する可能性が高いと予想されます。来年以降の利上げについても慎重な判断のもと2回程度の利上げが予想されています。一方、日本の金融政策には大きな変化はないと考えられ、マイナス圏にある実質金利差の縮小傾向は続く見通しです。米ドル高・円安へと向かいやすい環境と言えそうです。

 

 

20161114gl2

【今後の展開】円安の進行が期待される

■市場は、トランプ大統領になることで米景気の回復と良い米長期金利の上昇を織り込みつつあり、当面は円安の進行が期待できそうです。ただ、トランプ次期大統領の政策や発言には注意が必要です。トランプ次期大統領はすでに「就任100日行動計画(以下計画)」を公表しており、財政支出や通商政策の具体的な方向性が変動要因となりそうです。

■財政赤字が巨額となれば、これまで改善が進んでいた双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)が悪化する可能性があり、米ドル安・円高に結び付きかねません。次期政権は歳出抑制から歳出拡大へと大きく方向転換する見通しですが、議会との協議により現実的な規模となれば、過度に円高を懸念する必要はないと思われます。

■通商政策も注目されます。「計画」では環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱など保護色の強い通商政策となっています。「計画」通り保護色を強めれば、リスクオフの動きが強まり、円高になりかねない点に注意が必要です。

20161114gl3

 

(2016年11月14日)

印刷用PDFはこちら→

今日のマーケット・デイリー 米ドル・円相場の見通し 円安の進行が期待される

関連マーケットレポート

2016年11月11日 米国の債券市場(2016年11月)

2016年11月10日 米国の株式市場(2016年11月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ