「外国人観光客」減少と政策期待(トルコ)

2016/02/05

<今日のキーワード>「外国人観光客」減少と政策期待(トルコ)

トルコはアジアとヨーロッパの間に位置し、東西文化の融合などの魅力から観光業が盛んです。2014年には年間3,684万人の「外国人観光客」が訪れ、旅行収支の黒字が貿易収支の赤字の4割近くを打ち消しました。ただし、隣国シリアを巡る地政学リスクの高まりなどから、「外国人観光客」は減少しつつあります。景気下振れが懸念されるなか、昨年再スタートしたダウトオール政権による外交や経済の政策に注目が集まっています。

【ポイント1】「外国人観光客」と観光収入が減少

テロの多発、ロシアとの関係悪化などが影響
■1月に発表された2015年の観光統計によると、年間の外国からの訪問者数は前年比▲1.6%、観光収入は同▲8.3%(315億米ドル、約3.7兆円)と、いずれも減少しました。訪問者を国別に見ると、1位のドイツは同+6.3%と増加しましたが、2位のロシアは同▲18.5%と大幅に減少しました。

■昨年夏場以降、トルコ政府がイスラム過激派組織とクルド人武装勢力に対して武力攻撃を開始、これに反発するテロが多発していることが、「外国人観光客」の減少につながっています。また、ロシアからの訪問者の減少は、同国軍機をトルコ軍が撃墜し、両国の関係が悪化したことも影響したと見られます。

【ポイント2】政権安定化で景気対策に期待

観光業不振を穴埋めへ
■1月12日、イスタンブールの自爆テロでドイツ人観光客など10名以上の死傷者が出ました。ドイツからの「外国人観光客」も減少する可能性が高まり、観光業の一段の不振が懸念される状況です。

■一方、昨年は総選挙のやり直しで政治的な空白期間がありましたが、公正発展党(AKP)が勝利し、単独政権が再スタートしています。政権の安定化で公共投資や構造改革が本格化し、成長の中長期的な底上げが進むと期待されます。

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【今後の展開】政権安定化で「外国人観光客」減少などの景気懸念を払しょくへ

ムーディーズが投資適格級を維持
昨年12月、大手格付け会社ムーディーズはトルコ国債の格付けをBaa3(BBB-に相当)に据え置き、投資適格級を維持しました。地政学リスクの高まりで海外からの投資不安定化が懸念される一方、政権安定化で底堅い景気と財政基盤がプラスとしました。

ダウトオール首相に存在感
ダウトオール首相は、1月に米国のバイデン副大統領と会談、英国とドイツを訪問して、それぞれとテロや難民問題などを協議するなど、存在感を示しつつあります。「外国人観光客」減少など景気悪化懸念がありますが、新政権の政策期待が不安を和らげそうです。

(2016年2月5日)

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