2015年を振り返るキーワード「ギリシャ問題」(欧州)

2015/12/18

<今日のキーワード>2015年を振り返るキーワード「ギリシャ問題」(欧州)

ギリシャで反緊縮財政を掲げる政権が1月に誕生したことにより、ギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)懸念、いわゆる「ギリシャ問題」が再燃しました。ギリシャは、7月の国民投票で欧州連合(EU)が支援の条件とした緊縮財政案を否決し、その結果、国債のデフォルトや同国のユーロ圏離脱の可能性が高まりました。しかし、ギリシャはその直後に一転、EU案の全面的な受け入れを決め、「ギリシャ問題」は急速に沈静化しました。

【ポイント1】ユーロ圏残留を選択

EUの第3次金融支援で、デフォルト回避
■ギリシャは、ユーロ圏離脱の可能性を交渉カードに反緊縮財政と金融支援の両立を求めてぎりぎりまで抵抗しました。しかしドイツなどが、一時的なユーロ圏離脱を容認する考えを明確にしたことで、結局ユーロ圏残留のための改革実行を決め、最大860億ユーロの第3次金融支援を受けて事態は沈静化に向かいました。

■ギリシャはこれまで以上にEUなどの監視を受けることとなりました。EUからは政府の口約束ではなく、議会での法制化が求められ、それが出来ないと支援が行われない仕組みとなりました。労働組合などはデモやストで抵抗していますが、ギリシャはEUなどから示された改革を法制化し、これまでのところ「ギリシャ問題」は落ち着いています。

【ポイント2】改革は多岐にわたる

ECBの量的緩和策で国債購入も
■ギリシャがこれまでに法制化した改革は多岐にわたります。年金削減、増税、市場開放、国有財産の売却や民営化、銀行への資本注入などです。

■一方EU側は、ギリシャ国債を引き続き欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策での購入対象外とし、交渉カードを残しています。

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【今後の展開】改革継続で、「ギリシャ問題」再燃の可能性は低下

■支援体制強化が課題
ギリシャは、EUから要求された改革案を順次法制化していることから、「ギリシャ問題」再燃の可能性は当面低いと見られます。ただし、来年7月には約23億ユーロと比較的大きな国債償還を控え、それまでに国際通貨基金(IMF)を加えた支援体制を強化する必要があります。

■支援側の債務減免が今後の注目点
EUは、金融支援にIMFが加わることを期待しています。IMFは債務減免をEUに求めており、これにはドイツなどが強く反発し、交渉阻害要因となっています。支援側の足並みの乱れから、ギリシャが改革の手を緩める可能性に注意が必要と見られます。

(2015年12月18日)

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