2015年を振り返るキーワード「人民元の国際化」(中国)

2015/12/16

<今日のキーワード>2015年を振り返るキーワード「人民元の国際化」(中国)

「人民元の国際化」は、貿易や国際金融市場などにおける人民元の使用拡大を指す幅広い概念です。人民元は、11月30日に国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨となることが決まり、各国の外貨準備への採用や国際金融市場での人民元建て取引の拡大に弾みがつくと見られます。中国政府は、人民元の変動相場制への移行や資本取引の自由化を今後も進める見込みです。

【ポイント1】SDR通貨入りの国家目標を達成

13通貨で構成される新たな人民元指数導入を発表
■人民元は、事実上、対米ドルの基準値の変動を一定の範囲内にとどめるよう管理されてきました。中国人民銀行は8月11日、この基準値の算定方法をより市場実勢に沿って変動するよう改定しました。この変更は市場から「人民元切り下げ」と解釈されましたが、SDR構成通貨入りのためにIMFから示された改革の一環だったと見られます。

■中国人民銀行が運営する中国外国為替取引システムは12月11日、13通貨で構成される新たな人民元指数を公表しました。対米ドルの単一通貨による指数に代わる管理指標となる見込みです。

【ポイント2】資本取引も自由化へ

10月に預金金利を自由化
■資本取引の自由化では、今年は目立った進展はありませんでした。今後は、原則禁止となっている対内対外の直接投資や証券投資の段階的な規制緩和が期待されます。

■一方、今年は国内の金融自由化が進みました。中国人民銀行は10月23日、預金金利を自由化すると発表しました。国内金融市場の自由化は、変動相場制と資本取引の自由化の達成に必要とされています。

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【今後の展開】「人民元の国際化」は新シルクロード「一帯一路」を後押し

周辺国との人民元建て取引拡大へ
「人民元の国際化」は、人民元の国際的なプレゼンス向上を目的とすると同時に、中高速の経済成長の軸となる「一帯一路」戦略の柱でもあります。人民元の信頼性を向上させ、人民元取引を増やすことで、周辺国への投資や貿易取引の拡大が見込まれます。

2020年に向けて「人民元の国際化」進展
中国人民銀行の周総裁は、次期5カ年計画にあわせ、「人民元の国際化」を推進する方針です。次期5カ年計画や、2016年の政府目標が決まる来年3月の全国人民代表大会で、「人民元の国際化」に向けた具体的なロードマップが示される見込みです。

(2015年12月16日)

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