「国際収支」改善がルピーの強みに(インド)

2015/07/07

<今日のキーワード> 「国際収支」改善がルピーの強みに(インド)

「国際収支」は、国全体の対外的な資金の収支を表します。その国の通貨の需給にも影響するため、為替市場で材料とされることが多い指標です。「国際収支」を大まかに見ると、主に輸出入の収支を表す「経常収支」、投資などに関する「資本収支」、それらの収支の結果としての「外貨準備増減」があります。インドでは、「国際収支」が改善傾向にあります。

【ポイント1】経常収支の赤字が大幅に減少

輸入減少で貿易収支が改善
■インドは、経常収支の赤字が大きいことが経済面の弱みとされてきました。ITサービス産業の強みや海外に住むインド人からの送金で、サービス収支と所得収支が黒字基調な一方、製造業が未発達で輸出の拡大が遅れ、貿易収支が赤字になっていることが背景です。
■2015年1-3月期は、経常収支の赤字が前期から大幅に減少しました。内需減速から輸入が大きく減少し、貿易収支(輸出-輸入)の赤字が縮小したことが背景です。

【ポイント2】資本収支の黒字が増加

海外からの設備投資や証券投資が増加
■2015年1-3月期は、資本収支の黒字が前期から増加しました。資本収支の内訳を見ると、直接投資収支の黒字が増加しました。モディ首相のトップセールスや投資規制緩和策を受けて、海外からの設備投資など直接投資の流入が増えました。
■ また、債券や株式などの証券投資収支の黒字も大幅に増加しました。物価が落ち着いているなか、インド準備銀行(中央銀行、RBI)が1月と3月に合計0.50%の利下げを実施したことなどが好感されたと見られます(6月に0.25%追加利下げを実施)。

 1500707MK

【今後の展開】「国際収支」の改善は、今後もルピーの強みに

■ 外貨準備の増加額が拡大
経常収支の赤字が縮小するとともに資本収支の黒字が拡大し、外貨準備の増加額が拡大しました。外貨準備の一段の増加により、インドルピーが大幅に下落した際にルピーを買い支える余力が増したことになります。

■資本収支の黒字拡大など「国際収支」改善が強み
今月から開催される次期国会では、構造改革に向け財・サービス税(GST)導入や土地収用法案の成立が期待され、海外からの投資がさらに活性化する要因になります。物価安定や利下げへの期待はインドへの証券投資を後押しし、「国際収支」の改善は今後もルピーの強みになりそうです。

(2015年7月7日)

印刷用PDFはこちら

→http://www.smam-jp.com/market/report/keyword/__icsFiles/afieldfile/2015/07/06/150707mk.pdf 

関連マーケットレポート

2015年06月25日 最近の指標から見るインド経済(2015年6月)

2015年06月24日 「モンスーン」と利下げの関係(インド)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ