続く「財政再建」への取り組み(ブラジル)

2015/06/03

<今日のキーワード> 続く「財政再建」への取り組み(ブラジル)

ブラジル政府の財政収支は2014年に大幅に悪化し、利払いを除く収支(プライマリー収支)が名目GDP比▲0.6%の赤字に転落しました(2013年は同+1.8%の黒字、いずれも国際通貨基金のデータによる)。ルセフ大統領は、2015年1月から2期目(任期4年)に入るにあたり、財務大臣に市場からの信任の厚いレビ氏を起用し、経済・財政政策を刷新しています。

【ポイント1】財政再建に向けた取り組みを強化

補助金の削減、増税などを進める

■ 過去に財政収支が悪化した主な要因としては、景気低迷による税収減、物価上昇による支出増、特定業種の振興を目的とした場当たり的な減税策、電力など公共料金を低水準に抑えるための補助金などが挙げられます。こうした状況を踏まえ、レビ氏が財務相に就任して以降、政府は増税を盛り込んだ2015年度予算案を1月に策定したほか、補助金の削減を狙い電気料金の値上げを認めました。

■加えて、ルセフ大統領は、3月下旬に財政再建に向けあらゆる手段を講じる姿勢を明らかにし、4月に議会の有力者を政府と議会の調整役に起用しました。政府が歳出削減などの厳しい政策を進める上で、議会での審議円滑化を図る狙いです。

【ポイント2】今年度予算の修正案を発表

歳出削減で収支見込みを維持
■ ブラジル政府は5月22日、裁量的支出を約700億レアル削減する今年度予算の修正案を発表しました。

■成長率見通しの下振れや物価高などに伴い、歳入の減少、義務的支出の増加、財政収支の悪化が見込まれます。そのため、修正予算案では裁量的支出を削減することにより、従来の収支見込みを維持する計画です。これでプライマリー収支の目標は663億レアルの黒字(名目GDP比1.1%に相当)に維持されました。

■修正案は今後国会で審議される見込みであり、有力者の調整などによる円滑な成立が期待されます。

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【今後の展開】予算見直し後もインフラ投資の継続などで景気に配慮する姿勢

 ■景気下振れ懸念などからブラジル市場は軟調

修正予算案発表の翌週、ブラジルの株式、債券、通貨は、いずれも軟調な推移になりました。財政再建に向けた政府の強い姿勢が示され、国債の格下げ懸念が後退した一方、インフラ事業への投資縮小などによる景気下振れが懸念されたためと見られます。

■政府の配慮に国民の理解が広がるかに注目

政府は、歳出削減案では旅費や物品購入などの費用削減に重点を置くとの方針を示したほか、インフラ事業に関する入札を近々行う考えも示し、景気への懸念を和らげようとしています。こうした景気に配慮する姿勢に国民の理解が広まるかが今後注目されます。

(2015年6月3日)

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