好材料に鈍感な日本株式市場 ワクチン接種完了も踏まえ年末に向けじり高を予想

2021/08/02

好材料に鈍感な日本株式市場

【ポイント1】景気の先行き懸念強まる
日経平均株価は前月比▲5.2%

■7月の日本株式市場は、新型コロナウイルスのデルタ型の感染拡大を受けて新規感染者数が増加し、景気の先行きへの懸念が強まったことなどから下落しました。日経平均株価が前月比▲5.2%、TOPIXが同▲2.2%でした。

【ポイント2】好材料に鈍感な日本株式市場
好業績、ワクチン接種の進捗は好材料

■7月下旬以降、3月期決算企業の4-6月期の業績発表が本格化しています。報道等によれば、経常利益(除く金融)は前年同期比で3倍近い増益になっているもようです。事前予想を上回る企業が多く、また、通期予想も上方修正傾向を強めているもようです。一方、ワクチン接種は16歳以上の人口比で40%を超えるなど高まっています。

■このように7月は、好調な業績にワクチン接種の進捗など、好材料があったにも関わらず、株価の下落基調に歯止めをかけることができませんでした。

【今後の展開】落ち着きを取り戻し、じり高を予想

■日本株式市場の調整には幾つかの理由が考えられます。1点目は、デルタ型の感染が世界的な規模に広がりを見せ始めている点です。ワクチン接種が進捗している欧米や、感染が落ち着いていた中国の他、日本にとっては生産拠点として重要なアジアへのデルタ型の拡大が懸念されます。中国を含むアジアはサプライチェーンの要であり、回復途上にある輸出型企業の業績見通しに影響を与えかねません。第2に、リスクマネーが米国に回帰する傾向を強めている点です。米国株式市場は好調ですが、景気に対する期待がやや後退する中、金融緩和政策が当面続くとの安心感から、長期金利が低下し、グロース株が上昇しています。一種の安全資産として位置づけられる「グロース株」への回帰は、相対的にバリュー株の多い日本株にとってはプラスの要因とは言えません。

■当面は、デルタ型の世界的な影響を慎重に見極める必要があります。感染が拡大しても死亡率の上昇が抑えられるなど、ワクチンの効果が再認識される、また、中国を含む世界経済の回復に対する期待が再び強まる、といった動きが確認されれば、リスクマネーは日本株式など出遅れた株式市場に再流入すると考えられます。日本では、希望者全員のワクチン接種の完了が11月頃と見込まれる上に、補正予算の具体化などの動きが期待されます。日本株式市場は内需関連株の回復も期待できることから、年末に向けてじり高の展開を予想します。

(2021年8月2日)

印刷用PDFはこちら↓

好材料に鈍感な日本株式市場

関連マーケットレポート

2021年7月30日 米国のグロース株優位を支える実質金利の低下

2021年7月28日 IMFの世界経済見通し、6.0%成長で据え置き

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ