プラスの相関となった米国の株式と債券のリターン 経済の正常化が進む中、再びマイナス圏へ向かおう

2021/05/06

プラスの相関となった米国の株式と債券のリターン

【ポイント1】株式と債券の相関がプラスに転換

2013年以降で6回目

■米国では、2月に債券価格の下落(長期金利の上昇)が加速し、株価も下落したことで株式と債券のリターンの相関係数が大きくプラスに転換しました。2013年以降、相関係数がプラスとなった局面は今回を含めて6回あります。過去の局面ではいずれも短期間で収束しており、その後はマイナス圏(債券リターンがマイナスで株式リターンがプラス)での推移となっています。

【ポイント2】行き過ぎた金融引き締め懸念

冷静さを取り戻しつつある金融市場

■債券価格が下落(長期金利が上昇)して、株価が下落する形でのプラスの相関は、金融引き締め懸念などに端を発すると考えられる悪い金利上昇での株価下落とみなすことができます。2月以降に見られた長期金利の急上昇と株価下落によって相関係数が大きくプラス圏にシフトした背景には、過度な金融引き締め懸念がありました。相関係数は3月にピークを付け、4月に若干低下しました。金融引き締め懸念は後退し、金融市場は冷静さを取り戻しつつあると考えられます。

【今後の展開】相関係数は再びマイナス圏へ向かおう

■相関係数は再びマイナス圏に転換すると考えられます。弊社では、経済の正常化に合わせて緩やかに長期金利が上昇すると見ていますが、同時に企業業績の回復を背景に株価は堅調に推移すると予想しています。この場合、債券価格が下落し、株価が上昇することになり、相関係数はマイナスとなります。プラス圏にとどまるとすれば、それは景気の過熱による引き締め懸念を背景に債券価格の下落と株価の下落が再現するか、もしくは、景気回復の見通しが後退し、金融緩和環境の下で、債券価格が上昇(長期金利が低下)し、株価も上昇するということになります。いずれの可能性も考えられますが、経済の正常化という大きな局面変化の中で、それらの持続性は限られそうです。

(2021年5月6日)

印刷用PDFはこちら↓

プラスの相関となった米国の株式と債券のリターン 経済の正常化が進む中、再びマイナス圏へ向かおう

関連マーケットレポート

2021年4月30日 FOMCの結果からみる米株へのインプリケーション

2021年4月20日 良い金利上昇と悪い金利上昇

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ