国内企業は『EV関連』部品や部材の増産投資を加速

2021/02/24

国内企業は『EV関連』部品や部材の増産投資を加速

「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)は自動車業界に100年に1度の大変革をもたらすといわれています。この内、日本、欧米、中国などで脱炭素の取り組みを前倒しで進める動きが強まり、電気自動車(EV)へのシフトが急速に進み始めました。国内の電子部品や素材企業は『EV関連』を成長部門と位置付け、『EV関連』部品や部材の増産投資を加速しています。

【ポイント1】各国の政策対応などを受けEVシフトが進む

■菅内閣は成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、2050年までに温暖化ガスの排出を全体としてゼロにする2050年カーボンニュートラルを目指す中で、2030年台半ばにはガソリン車の新車販売ゼロを目指す方向とされます。中国政府は2035年をめどに新車販売のすべてを環境対応車にする他、米国ではバイデン政権の誕生により、環境対応を加速する方向にあります。こうした流れを受け、自動車のEVへのシフトが急速に進み始めました。『EV関連』部品や部材に強い国内の部品や素材企業には追い風になるとみられ、増産投資に乗り出しています。

【ポイント2】国内企業は対応を強化

■電子部品企業では、TDKは蓄電池など、ロームは次世代型パワー半導体投資を拡大、増産する方針です。日本電産はガソリン車のエンジンにあたるEVの基幹部品である駆動モーターなどに最大1兆円規模の投資をする方針です。同社は中国では研究開発拠点や生産拠点の準備を進めており、欧州にも約2,000億円を投じて駆動モーターの工場を設ける方針です。永守会長は2030年にEV向けのモーターシェアを40~45%に拡大する見通しを示しています。

■素材企業では電解液で多くの特許を持つ三菱ケミカルはEVなどに使うリチウムイオン電池の中核材料の生産能力を大幅に引き上げる方針の他、住友化学もEV向けの電池に採用されている絶縁材などを増強し、生産能力を引き上げる方針です。

【今後の展開】各企業の戦略の巧拙が問われる

■自動車の「脱ガソリン」は欧州が先行していましたが、世界的な脱炭素への取り組み強化によるEVなど環境対応車へのシフトは『EV関連』部品や部材に強い国内の部品や素材企業には追い風になります。一方韓国や中国企業も同分野への取り組みを強化しており、競争はさらに激化していくとみられます。今後は技術開発に加えて、提携など各企業の戦略の巧拙が問われます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2021年2月24日)

印刷用PDFはこちら↓

国内企業は『EV関連』部品や部材の増産投資を加速

関連マーケットレポート

2021年2月10日 『自動運転』の普及に向け法整備が進む

2021年1月7日 自動車の成長は『EV』にあり

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ