今年を振り返るキーワード5 『金融緩和』

2019/12/26

今年を振り返るキーワード5 『金融緩和』

2019年の金融市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年末までの金融正常化の方針を一転し、『金融緩和』姿勢に転じたことで、世界的に『金融緩和』の波が広がりました。背景にあるのは米中貿易摩擦の激化などによる世界経済のリスクの高まりです。景気減速を下支えするためFRBによる3度の予防的利下げが実施されるなか、世界的に緩和の流れが広まり『金融緩和』ドミノとなりました。

【ポイント1】米国が『金融緩和』へ方針転換

19年は3にわたり予防的利下げを実施

■米中貿易摩擦に伴う景気減速懸念や、英国の欧州連合(EU)離脱などへの不確実性が高まったことから、FRBは昨年末まで進めていた金融正常化を一転し、今年に入りハト派姿勢を強めました。そして7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で『金融緩和』へと舵を切り、2008年12月以来となる政策金利の引き下げが実施されました。続く9、10月と3会合連続で利下げが実施され、一段と『金融緩和』が進みました。

■同じく金利正常化を進めていた欧州中央銀行(ECB)も、米国に追随しハト派姿勢を強めたあと、9月の理事会でマイナス金利の深掘りと、量的緩和の再開などを決定しました。

【ポイント2】『金融緩和』は世界に波及

長期金利は世界的に大幅に低下

■米国に追随するように『金融緩和』は世界中に広がりました。米中貿易摩擦等に起因する世界的な景気減速に対し、各国中銀が『金融緩和』でテコ入れを図るためです。米国の『金融緩和』により新興国通貨に対する米ドル高圧力が低下し、『金融緩和』の余地が生まれたことから、新興国の中央銀行も相次いで利下げを行いました。

■今年の5月以降でみると、アジアや南米等を含む主要17カ国・地域が『金融緩和』に踏み切っており、この結果、世界的に長期金利が大幅に低下しました。米国の『金融緩和』により投資家のリスク選好姿勢が強まり、新興国市場にも資金が流入しました。

【今後の展開】『金融緩和』環境は継続する見込み

■世界経済への重石となっている米中貿易交渉においては米中が第1段階の合意に達したことから、2020年の世界経済は持ち直しが期待されます。FRBは12月のFOMCで4会合ぶりに政策金利を据え置くとともに、利下げサイクルの終了を示唆しました。一方、利上げを見込むほどのインフレも見込まれないため、2020年にわたり政策金利を据え置くと予想されます。このことから、世界的な『金融緩和』環境は来年も続く見込みです。

(2019年12月26日)印刷用PDFはこちら↓

今年を振り返るキーワード5 『金融緩和』

関連マーケットレポート

2019年12月25日今年を振り返るキーワード4 社運をかけた大型『M&A』が増加

2019年12月23日 今年を振り返るキーワード3『逆イールド』

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ