日本株の見通しを更新

2016/07/07

市川レポート(No.273)日本株の見通しを更新

  • 世界景気と円相場に敏感な日本株は、今しばらく不安定な動きが続きボラティリティは高止まろう。
  • 日経平均は14,000円台半ばや後半が下値目途として意識されやすいが、円急騰なら一段安も。
  • 上値目途は16,000円台半ばや後半、円相場の落ち着き次第では17,000円台回復の可能性。

世界景気と円相場に敏感な日本株は、今しばらく不安定な動きが続きボラティリティは高止まろう

7月1日付けレポート「日米欧の経済・金融政策見通しを更新」、7月5日付けレポート「ドル円相場の見通しを更新」を踏まえ、弊社は日本株の見通しを更新しました。英国民投票での欧州連合(EU)離脱という予想外の結果により、主要国の経済成長は鈍化する見通しとなり、ドル円は円高方向のリスクに警戒が必要となりました。そのため世界景気と円相場に敏感な日本株は、今しばらく不安定な動きが続くと予想されます。

欧州の政治・経済動向は少なくとも年内いっぱい相場全般に強い影響を及ぼし、米大統領選挙や米利上げ時期を巡る思惑も為替レートや株価を大きく変動させると思われます。日本株は年末にかけて緩やかな持ち直しを予想しますが、欧州動向などの報道に一喜一憂し、価格変動率(ボラティリティ)の高止まりが見込まれます。そのため予想レンジについては、上下の幅を比較的広めにみておく必要があると考えます。

日経平均は14,000円台半ばや後半が下値目途として意識されやすいが、円急騰なら一段安も

まず下限について考えます。日経平均株価は2月12日に14,865円77銭の安値をつけ、また6月24日にも14,864円01銭の安値をつけています。年初の原油安などによる混乱と、今回の英国民投票を受けた混乱でも、14,800円台で下げ止まっていることになります。ここを下抜けると、2014年10月17日の安値14,529円03銭という14,500円台が意識され、いわゆるハロウィン緩和の直前に大きく下げた水準に戻ることになります(図表1)。

目先はこれらのレベルが下値の目途になりやすいと考えます。しかしながら弊社では年内のドル円相場について、下限を1ドル=95円とみています。仮にこの水準まで円高が進行すると、多くの企業が業績見通しの大幅な下方修正を余儀なくされる恐れがあります。円急騰のリスクが顕在化した場合の下限は、7-9月期が13,400円、10-12月期は13,800円としています。

上値目途は16,000円台半ばや後半、円相場の落ち着き次第では17,000円台回復の可能性

次に上限について考えます。日銀の追加緩和や政府の経済対策により、円高リスクはある程度の軽減が期待されます。また今後発表される主要国の経済指標において、英国民投票後の市場混乱の影響は限定的と確認された場合、市場の警戒感はかなり和らぐと思われます。日経平均株価は6月10日と13日に窓を空けていますので、上昇に転じた場合は、窓埋めによる16,500円水準が上値目途として意識されやすいとみています(図表2)。

なお英国とEUが順調に離脱交渉を進め、米大統領選挙が波乱なく終了すれば、為替はドル高・円安方向に振れ、日本株は一段と買われやすくなると考えます。円相場が落ち着けば業績悪化懸念が後退し、日本株の相対的な割安感に注目が集まる可能性が高いためです。株価が上振れた場合の上限は、7-9月期が16,800円、10-12月期は17,300円としています。

160707図表1160707図表2

 

 (2016年7月7日)

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