タカ派FOMC議事要旨は日本株の重しとなるか

2016/05/23

市川レポート(No.250)タカ派FOMC議事要旨は日本株の重しとなるか

  • 年初混乱した世界の金融市場は、米金融当局のハト派姿勢を受け3月以降安定した動きに。
  • ただ4月開催のFOMC議事要旨で市場には想定外のタカ派姿勢が米金融当局によって示された。
  • 金融市場は米利上げ耐性を高めているため再混乱の可能性は低く、日本株への影響も限定的。

年初混乱した世界の金融市場は、米金融当局のハト派姿勢を受け3月以降安定した動きに

世界の金融市場は年初に中国の景気減速や原油安への懸念から大きく混乱しましたが、3月以降、リスクオフ(回避)の動きは次第に収束に向かいました。金融市場に潮目の変化をもたらしたのは、3月15日、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や、3月29日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演会において示された、「世界経済と金融情勢は引き続きリスクであり、利上げは慎重に進める」旨のメッセージです。

このような米金融当局のハト派姿勢を受けて、為替市場では米ドルがほぼ全面安となりました。その結果、相対的に新興国通貨が上昇し、新興国経済に対する過度な悲観が後退すると、新興国株式や商品相場は次第に持ち直しました。こうした流れのなかで投資家のリスク許容度は一段と改善し、先進国株やリート、ハイイールド債など、他のリスク資産の価格押し上げにもつながりました。

ただ4月開催のFOMC議事要旨で市場には想定外のタカ派姿勢が米金融当局によって示された

しかしながら5月に入り、為替市場で米ドルを買い戻す動きが強まると(図表1)、株式などリスク資産は総じて軟調な推移に転じました。3月から米ドル安とリスク資産の上昇が続いていたため、時期的にいったんポジション調整が入ったとしても何ら違和感はありません。ただここにきて注意すべき材料が浮上しました。それは5月18日に公表された4月分のFOMC議事要旨です。

4月26日、27日のFOMC声明がバランスのとれた内容だったため、市場で今回の議事要旨を重視する向きは多くありませんでした。しかし議事要旨において大半のメンバーは、今後の経済データが4-6月期の経済成長の回復を裏付け、雇用市場の改善が続き、物価が2%の目標に向けて上昇していけば、6月の利上げが適切と考えていることが明らかになりました。つまり市場にとっては想定外のタカ派姿勢が、米金融当局によって示された訳です。

金融市場は米利上げ耐性を高めているため再混乱の可能性は低く、日本株への影響も限定的

議事要旨が公表された5月18日、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、6月の利上げ確率が約32%と前日の約12%から上昇し、米国債の利回りも短期から長期にかけて上昇しました。為替市場では一段の米ドル高が進行し、リスク資産も総じて調整色を強めました。政策期待に支えられていた日本株は、足元で示されたタカ派的な米金融当局の姿勢と、リスク資産の軟調な動きに、上値を抑えられつつあります。

しかしながら5月以降の主要アセットクラスの動きをみると、WTI原油先物価格は堅調で、リートも小幅ながら上昇しています(図表2)。これは金融市場が3月以降十分に落ち着き、米利上げへの耐性を高めたためと推測されます。従ってここから先、金融市場が米利上げ懸念から年初のような混乱に陥る可能性は低く、日本株への影響も限定されると思われます。ただ引き続き米金融当局の政策姿勢を確認する必要はあり、5月27日と6月6日に予定されているイエレンFRB議長の講演は注目材料です。

160523図表1160523図表2

 

 (2016年5月23日)

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