日経平均株価と投資家動向

2022/01/04

日経平均株価と投資家動向

  • 日経平均は昨年1年間で4.9%上昇、米主要株価指数の2ケタの上昇率に比べ控えめなものに。
  • 春先から夏場に海外投資家と信託銀行が売り越し、秋口の急騰・急落は、海外投資家が主導。
  • 年間で海外投資家などは売り越し、事業法人などは買い越し、売買交錯で日経平均は小幅高。

日経平均は昨年1年間で4.9%上昇、米主要株価指数の2ケタの上昇率に比べ控えめなものに

日経平均株価は、昨年1年間(2020年12月30日から2021年12月30日)で、4.9%上昇しました(終値ベース、以下同じ)。米国株と比較した場合、ダウ工業株30種平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数は、それぞれ18.7%、26.9%、21.4%上昇しているため(期間は2020年12月31日から2021年12月31日)、日経平均株価の上昇率は、相対的に控えめなものとなっています。

日経平均株価の昨年1年間の値動きをみると、大きく4つの期間に分けられます(図表1)。すなわち、①年初から2月16日にかけての上昇期間、②2月16日から8月20日にかけての下落期間、③8月20日から10月6日にかけての急騰・急落期間、④10月6日から年末にかけての揉み合い期間、の4つです。以下、各期間における主な投資家の動向を確認します。

春先から夏場に海外投資家と信託銀行が売り越し、秋口の急騰・急落は、海外投資家が主導

主な投資家は、海外投資家、個人、投資信託、事業法人、信託銀行、自己(証券会社の自己勘定)とし、前述の4期間における現物の売買状況を検証します(図表2)。なお、海外投資家は先物取引を積極的に活用しているため、先物の売買金額(日経225先物およびTOPIX先物)も含めます。まず、①の上昇期間において、日本株を買い越したのは、自己と海外投資家で、年明けの株価のけん引役となりました。

次に、②の下落期間では、海外投資家と信託銀行が日本株を大幅に売り越しました。なお、信託銀行は公的年金や企業年金の売買動向を反映するとされます。これに対し、大きく買い向かったのは個人でした。そして、③の急騰・急落期間において、急騰を主導したのは海外投資家と自己で、個人は売り手に回りました。一方、その後の急落を主導したのは海外投資家で、個人は買い手に転じています。

年間で海外投資家などは売り越し、事業法人などは買い越し、売買交錯で日経平均は小幅高

最後に、④の揉み合い期間では、持ち直し局面において、海外投資家は買い越し、個人は売り越しましたが、その後のオミクロン型検出の報道を受け、海外投資家は大きく売り越しに転じ、個人は買い越しに転じました。一般に、海外投資家は相場の流れに沿って売買する「順張り」の傾向があり、個人は相場の流れに逆らって売買する「逆張り」の傾向があるとされますが、昨年はその傾向が明確に確認されました。

そのほかの投資主体をみると、事業法人は安定した日本株の買い手となっていますが、これは自社株買いと推測されます。また、年間を通じてみると、日本株の方向性を左右する海外投資家が売り越しとなったほか、投資信託、信託銀行も大きく売り越しました。一方、事業法人と自己は大きく買い越しており、このような売買の交錯が、日経平均株価の小幅な上昇率の背景にあると考えられます。

 

(2022年1月4日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ