日本株は週末のメジャーSQに注目

2020/06/08

日本株は週末のメジャーSQに注目

  • 先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを週末に控え株価の変動幅は今週一時的に拡大か。
  • SQ直前の日経平均の水準次第だが、デルタヘッジや裁定買いなどで上昇ペース加速の可能性も。
  • ただ日経225先物のSQは日経平均の戻り高値となる傾向もありSQ後の株価動向が注目される。

先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを週末に控え株価の変動幅は今週一時的に拡大か

6月物の株価指数先物とオプションは、6月12日に特別清算指数(SQ)の算出を迎えます。今回は先物とオプションの清算が重なる「メジャーSQ」となります。一般に、メジャーSQの週は、清算価格を巡る思惑的な売買が膨らみやすく、また、先物やオプションの取引主体が、SQ直前の限られた時間で取引判断を迫られるため、株価が一時的に大きく上昇(あるいは下落)することがあります。

この理由は次の通りです。例えば、株価の上昇で、コールオプションの売り手に損失が発生した場合、この売り手は別途、先物を買い、先物の評価益でオプションの評価損を補填する「デルタヘッジ」を行うことがあります。これにより、先物価格が押し上げられ、裁定業者(主に証券会社)の「裁定買い取引」(先物を売って同時に現物を買う)につながれば、現物株の上昇が加速することもあります。

SQ直前の日経平均の水準次第だが、デルタヘッジや裁定買いなどで上昇ペース加速の可能性も

では実際に、日経225オプションの取引動向を確認してみます。6月物コールオプションは、23,000円と23,500円の行使価格で、建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)が相対的に大きく積み上がっていることが分かります(図表1)。そのため、例えばSQの前日や前々日あたりで、日経平均株価が23,000円や23,500円を超えていると、上昇ペースが急加速する展開も想定されます。

これは前述の通り、デルタヘッジや裁定買い取引によるもので、日経平均株価が23,000円、23,500円を超えて上昇すれば、各行使価格のコールオプションの売り手には損失が発生するため、売り手のデルタヘッジ(先物買い)と裁定業者の裁定買い取引(先物売り+現物買い)により、日経平均株価が押し上げられるという仕組みです。また、今回は、先物の取引動向にも注意が必要です。

ただ日経225先物のSQは日経平均の戻り高値となる傾向もありSQ後の株価動向が注目される

先物の中心的な取引主体である海外投資家は、新年度入り後の日本株のさらなる下落を見越し、4月第1週以降、先物を売り越す動きが顕著でした。しかしながら、日銀によるETFの買い入れなどで、日本株が底堅く推移すると、買い戻しを余儀なくされ、5月第3週、第4週と買い越しに転じました。先物の買い戻しも、裁定業者の裁定買い取引を通じ、現物の株価押し上げ要因となります。

海外投資家による先物の買い戻しが続けば、今週の日本株は、比較的上昇しやすい環境にあるとも考えられます。しかしながら、SQ前の価格変動は、基本的にはポジション調整に伴う一時的なものです。また、日経225先物のSQは、日経平均株価の「戻り高値」や「押し安値」となる傾向があります(図表2)。今回は、株価が上昇基調にあるため、6月12日のSQが戻り高値となるか否か、SQ後の株価動向が注目されます。

(2020年6月8日)

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ