GPIF、国内株・Jリートの下支え役

2018/07/13

▣ 国内株式、外国債券、外国株式の構成割合が上昇

公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月6日、2017(平成29)年度の「業務概況書」を発表しました。2017年度第4四半期は米金利急上昇への警戒や米国の通商政策の不透明感を背景に、内外の株式市場が軟調に推移したことから収益がマイナスになりましたが、2017年度では10兆810億円の運用益を確保しました(図表1、2)。

運用資産の構成割合は、国内債券が2017年3月末の31.68%から27.50%に低下する一方、国内株式は23.28%から25.14%に、外国債券は13.03%から14.77%に、外国株式は23.12%から23.88%に上昇しました。ただ、国内株式の割合上昇は相場の上昇によるところが大きく、買越額はごくわずかとみられます。国内では日銀の強力な金融緩和を受け、国内債については利回りが非常に低位で推移し、収益性が低下する中、特に外国債券に資金を振り向けた格好です。

▣ イタリア債、スペイン債へも投資

国別の投資額では、米国債、米国株が際立ちます(図表3)。その他の国としては、債券については欧州債中心で、政治面での不透明感がやや強いものの利回りの高いイタリア債やスペイン債での運用が目につきます。株式についても、米国を除くと欧州が目立ちますが、中国株、韓国株も比較的高い水準です。

また、内外の株式のアクティブ運用の割合が10%前後で推移する一方、国内債券は23%弱、外国債券は38%と高めの水準となっており、債券については銘柄選択や機動的な運用で収益向上を図る姿勢がみられます(図表4)。

▣ Jリートは横ばいも、不動産投資には前向き

Jリートについては、2018年3月末で685億円程度と、2017年3月末の684億円からほぼ変わらずでした(図表5)。ただ、銘柄数については54銘柄まで増えています。国内株式の構成割合が基本ポートフォリオの25%に達しているため、Jリートについても現状維持と推測されます。ただ、株式と同様、積極的な買いは見込めないものの、相場の下落局面では構成割合を維持するため、買い増しに動くことが期待できます。また、オルタナティブ資産への投資として、私募リートへの投資を今年1月から開始し、2018年3月末の残高は80.87億円。不動産投資については前向きのようです。

▣ 今後は基本ポートフォリオを達成する中での運用

今後については、外国債券の構成割合は基本ポートフォリオの15%を若干下回っていることから、国内債券売り、外国債券買いが継続することも考えられます。もっとも、国内債券の割合が27%程度まで低下しており、2017年度ほどは大きく動かないとみられます。また、外国株式については基本ポートフォリオの25%を上回ってきており、買い増しは限定的となりそうです。国内株式については、直近では25%をやや下回っている可能性があり、買い増しに動く余地は若干ありそうです(図表6)。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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