ECB、緩和縮小路線は早くも後退

2019/03/08

ポイント:

  • 政策金利は据え置き
  • 利上げの時期を来年に先延ばし
  • 銀行向けの長期の資金供給(低利融資)を再び実施
  • 2019年のユーロ圏の成長見通しを大幅に引き下げ
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)に続き、金融引き締め姿勢が後退

▣ 利上げ時期先延ばし、長期資金供給オペも実施へ

欧州中央銀行(ECB)は3月7日の理事会で、経済・物価見通しを下方修正し、利上げ時期を先延ばしするとともに、銀行向けの長期資金供給の実施を発表しました。また、政策金利については据え置きました。

利上げ時期については、ECBはこれまで政策の先行き指針(フォワードガイダンス)で「少なくとも2019年夏までは政策金利を現状水準に据え置く」としてきましたが、今回、「少なくとも2019年末までは政策金利を現状水準に据え置く」と、先延ばししました。

長期の資金供給については、期間2年の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の第3弾(TLTRO-Ⅲ)を9月から実施すると発表しました。前回2016~2017年に実施したTLTRO-Ⅱが2020年から満期を迎えるため、償還に伴う資金繰り対策とも考えられますが、ECBは昨年12月で、国債などを買い入れる量的金融緩和政策(資産購入プログラム)を終了したばかりで、早くも金融緩和の縮小路線の修正を迫られた格好です。

年内の利上げ見送りや長期資金供給オペの実施観測は広がっていましたが、予想より早い段階での発表で、市場にはややサプライズでした。ただ、金融引き締め姿勢を大きく後退させたことを受け、市場に安心感が広がることはなく、経済見通しが大きく下方修正されたことから、世界経済への減速への懸念が広がる形になりました。

▣ 成長見通しを大幅に引き下げ

ECBがあわせて公表したユーロ圏の経済見通しでは、2019年の成長率を前回(2018年12月)の1.7%から1.1%、消費者物価上昇率を1.6%から1.2%にそれぞれ下方修正しました(図表1)。貿易摩擦、中国の景気減速、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる不透明感などから、ドラギECB総裁は、「ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは下振れ方向」と述べました。

2020年、2021年の消費者物価上昇率も下方修正され、“2.0%未満かつその近辺”としている物価目標の達成も遠のいた格好です。

市場の利上げ観測についても、今回の発表を受け、一段と後退しました(図表2)。

3月6日、経済協力開発機構(OECD)はエコノミックアウトルック中間報告で、欧州経済が弱まるなどリスクが続いているため世界経済は減速しているとして、2019年と2020年の世界経済の成長見通しをそれぞれ3.3%、3.4%とし、2019年が0.2%ポイント、2020年が0.1%ポイント引き下げました。

この中間報告書の中では、世界経済を圧迫する主な要因として中国と欧州の停滞と世界の貿易の伸びの弱さを挙げ、貿易制限と政治的不安定がさらに強まると、世界経済の成長にさらに悪影響が及ぶ可能性があるとしています。

ユーロ圏の経済が低迷するだけでなく、米国、中国についても減速見通しで、欧州だけでなく、日米の金融政策も、緩和方向が意識される可能性がありそうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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